事業再生の現場から

三菱UFJ銀行の貸金庫事件②

前回に続いて…

栃木県内に本店を置く足利銀行、栃木銀行の二行が上記事件を受けて「貸金庫業務の管理強化」を公表しましたが、一方でメガバンクの一角・みずほ銀行では「貸金庫利用の新規受付中止」を発表する等、事件の詳細が明らかになって来るに従って、銀行業界の中でも、それぞれの立場から違った対応をする銀行が目立って来ました。

メガバンククラスになると、「貸金庫業務」は”傍流中の傍流”と云うか、貸金庫利用料(サイズによって違うと思いますが年間数万円程度か)に比べて「セキュリティ関連投資」や「管理コスト・人件費」等の費用負担が重いという事なのでしょうか、今回の事件をきっかけに「儲からない貸金庫業務からの撤退」を検討する銀行も出て来そうな勢いです。

 

銀行業務では必ず「チェック機能をどうするんだ?」という問題が検討されます。

情報系システムや勘定系システムに過去数兆円規模の投資をして来ている、且つ昨今では人工知能やフィンテック云々と言ってはいても、まだまだ金融業界は「人による管理」が幅を利かせている業界だと思います。

そのために数万人規模の雇用があると言ってしまえばそれまでですが、なかなか機械化・システム化が進みません。(進めようとしないのか…)

人がやる事には「間違いが起きます」し、そこに何らかの「意図」が絡んで来ると、それを防止するのは大変で、異常を検知するために膨大なシステム構築が必要でしょうし、そのシステム自体が今回のケースのように「電源を切って異常発覚を逃れた」となると、システム投資をしても問題解決とはなりません(>_<)

結果として「人の目」や「監査機能」で牽制して行く、という旧型の管理が必要になり、業務の維持拡大には労働力(コスト)が掛かってしまう、という事になる訳です。

そんなにコストが掛かるなら、そんな業務から撤退した方が良いんじゃない?という議論は当然起きるでしょう。

 

今週になって、関連報道は下火になりつつありますが、まだまだ上記事件を受けて「貸金庫業務」をどうして行くのか?その議論は今後も続いて行くと思われます。

中小金融機関にとっては「ドル箱」に近い感覚の貸金庫業務も、今後の当局指導で「犯罪防止・抑止」目的で投資が必要になるという事になると、みずほ銀行に右へ倣えとなる可能性も…ありかなぁ

暫く注視しようと思います。

 

 



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