最近某金融業者の担当者から紹介いただいた事例…
建築業者で事業経験は5年。
もちろんこの業界での経験値はそれ以上のキャリアがあり、10年以上の実務経験と、一緒に苦労してくれる「助さん角さん」を伴って親方の元から独立したのが数年前の事だと言います。
無我夢中で仕事に打ち込む中、順調に売り上げを伸ばし、直近の決算では年商規模が3億円の大台に乗りました。
創業5年で年商3億円達成ですから、社内には活気が漲り、若い職人さんも多く、勢いを感じさせる企業に見受けられます。
ただ若手を中心に破竹の勢いで売り上げを伸ばして来た割に、紹介されて面談した社長さんの表情は冴えません…
「売上は順調に伸びているんですけど、いつもおカネの問題に悩まされているんです。毎月の資金繰りが大変で…」と社長さん。
確かに直近の決算書と当期中の試算表(貸借対照表)を拝見すると、現預金の数値が2年前に比較して急減しています。
反対に負債の部に目を向けると、金融機関からの借入金が長短合わせて6,000万円を超える水準にまで増加して来ています。
この借入金が何処に貼り付いているんだ?という目線で見ると、資産の部で未成工事支出金という勘定がやはり急増しています。
いわゆる「棚卸資産」であり、完成して引渡まで行かない「半製品」とでも表現すれば分かり易いでしょうか。
土木建設業では良く目にする勘定科目ですが、工事が完成するまでに支出した材料費や労務費、外注費諸々の原価経費が此処に含まれます。
大規模な工事を受注した時や工事現場を多数決算持ち越しした場合等にこの勘定が膨れますが、紹介された会社の場合、それとはまた別の理由があって未成工事支出金が多いようだと気づきました。
社長の話によると「工事現場は人材不足が続き自社で人員を集めるのには限界があるため」、多くの工事現場で「外注」を使うそうです。
それはまぁ良いとして、月締めで外注からの請求が上がって来るのに対して、一部の取引先では「出来高払い」を認めて貰えない事例もあって、常に下請け先に対する「立替金」が発生してしまう受け払い構造になっているようなのです。
「それじゃあ、出来高払いをして貰えない現場を取れば取るほど会社の立替金払いが増えちゃうから、資金繰りが持たないでしょ」と私。
因みにこの会社の直近(期初から8か月)試算表でみると、今期は今のところ1,300万円の黒字になっています。
まさに黒字倒産まっしぐらやん…
「社長、ダメよこんな仕事しちゃ… 元請にお願いして出来高払いを認めて貰うか、外注先に少しは資金繰り(借入)して貰うとか手を打たないと」
こんな資金繰りに苦しんでいるのに、取引銀行は「決算の数値を見てから…」「借入急増先になったので、他行でお願いしてみてください」だそうです。
さてさて、先ずは資金繰りですね ;^^)
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