前回の続き…
地域金融の一翼を担う金融機関幹部との面談を通じて教えていただいた事や私が感じた事を綴っています。
事業再生というか「経営改善」に取り組む必要がある中小企業は、世の中にごまんと(たくさん)あると思います。
その必要に気づき、有効な改善策を立案して実行に移して行く事で、改善効果が顕れ始めると企業業績は自ずと向上して行きます。
事業資金を融資している金融機関側から見ると、業績が改善して収益力が向上した取引先は「弁済能力」もアップするので、貸出金の「安全性」が増す事にもなります。
なので、融資先の業績が下降し既存貸出(融資)金の「安全性」が低下する軌道に乗り始めると「経営改善計画を提出してください」という局面になって行くのです。
ただ、これはお話を聞いた件の金融機関だけでなく、金融業界全般に言える事ですが、いずこの銀行・金庫も人員削減を急いだ結果、営業店(支店)・現場での人員不足は相当深刻だそうで、事業年度の途中で急な退職等が発生すると期中の人員補充も儘ならない事が多い、という関係者からの嘆きも良く聞きます。
営業店での人員不足はメガバンクでも信金・信組でも聞く話です。
営業店レベルでの「人繰り」は、支店経営陣(支店長・次長席)にとって一番頭の痛い問題とも聞きますし…
そんな状況ですから、取引先のために「時間を掛ける」金融サービスは、なかなか実現するのが難しいのでしょう。
経営不振で資金繰りに窮した取引先に寄り添い、資金不足の要因を調査・分析して、金融機関ができる対応(新規融資の検討や支払のリスケ検討)を検討して、社内調整のうえ取引先を説得して、対応策を具体化して行くには、それなりの時間とパワーが必要です。
まして簡易であっても、金融支援下~後の業績シュミレーションを計画に落とし込んで行く地道な作業は、取引先(経営者)との対話も必要ですから、時間が掛かるのです。
今は当社の融資の50%超は「不動産関連」の案件で…
寧ろ今は不動産関連融資の方が(担保不動産が高値安定・換金性も高く)安心な融資になっています。
旧来の取引先が資金不足で突然死となっても、何の反省も検証も無い…
再生業務に理解ある方の懐述だけに自社の対応にもどかしさを感じておられるのですが、恐らくこれは、全金融機関に共通した風潮なのかなと思います。
手間と時間の掛かる業務は自社対応せず、外注或いは債権譲渡により勘定を切り離して処理を進めるとか、業務の効率を追及せざるを得ない、そういう時代になりつつあるのでしょう。
メガバンク的に考えれば、限られた経営資源を最大限活用して利益を追及して行くには、「事業再生」のような業務に社員を貼り付ける必要性があるのか??になると思います。
さて、地域から逃げる事のできない地域金融機関の選択はどうなんでしょう?
株主・行政庁・取引先等々ステークホルダーに自社の対応を堂々説明できる金融マンはどのくらい居るんでしょう?
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