事業再生の現場から

ホンダと日産の経営統合(2)

昨日に続いて…

昨日のホンダと日産の株価は、双方ともに大幅高。

経営統合のニュースが抜かれた時は、日産大幅高、対して経営の負担を案じてホンダ株大幅下落でしたが、具体的な経営統合に向けた両社の立ち位置やスケジュール感が明確になった事が安心感に繋がったのでしょうか。

尤も同時にホンダが発表した1兆1千億円に及ぶ「自社株買い」のインパクトが大きかったのでしょうけども…

ホンダの発行株数の23%、約1/4近い株が市場から吸収(減少)する計算になるので、昨日の株価上昇率14%は、まぁ「そりゃぁそうよね」という事だったのでしょうけど。

 

ところで両社に三菱自工を加えた三社が持ち株会社にぶら下がる形で進むであろう経営統合ですが、各社のブランド維持だけが目的では無いように思います。

統合後の主導権を握るであろうホンダですが、創業者本田宗一郎氏の「モノ作り」精神が今も脈々と引き継がれているようで、コスト意識もそこそこキビシイ中、技術開発に対する“こだわり”も諸々聞こえて来ます。

こちらは戦後発の新興・ベンチャーを源とする技術者集団が大企業化していった、ジャパンドリーム的な匂いがしますね。

創業者の色・社訓が現在も社内外に残っているイメージは、例えば松下幸之助氏のPanasonicや稲盛和夫氏の京セラ等幾つも例がありますが、ホンダの本田宗一郎氏が工場内でモノ作りに没頭する像は、多くの中高年の脳裏に強烈に残っているように思います。

 

一方の日産ですが、こちらは戦前からコンツェルン(財閥)の一角を成す名門企業の生き残りで、歴史は無論、多くの経済人を輩出する等、日本財界の屋台骨を支えていた大企業です。

日産に関しては、経営者も有力者を多く輩出していますが、労働組合でも「労働貴族」という言葉の元になった労組委員長の出身母体であったり、とにかく高学歴・官僚主義的経営が歴代続いているイメージがあります。(私見ですが…)

とにかく、日産は会社もそこで働いている人達も「名門」なんですよね。

 

この二社が例えば経営統合の方法として「合併」しても、とても上手く行くとは思えません。

よって緩く「各社の良いところを活かしつつ、統合で良いところだけをピックアップする」という、日本的な決着になったのでは? なんて考えてしまいます。

トヨタに対する対抗軸としてホンダ・日産(三菱)連合軍が登場して、日本の自動車産業がどういう変化を見せて行くのか、暫くは目が離せそうにありません。



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