事業再生の現場から

資金繰りに苦闘する経営者

このブログでは何度もネタにさせて貰っているキーワードで、利益が出ているにも関わらず資金繰りが回らなくなり、事業閉鎖・廃業に追い込まれる「黒字倒産」という言葉があります。

反対に、どんなに赤字を計上していても、手元資金が潤沢(豊富)にあるため、事業を続けて行けるパターンもあります。

赤字でも(手元に資金があれば)企業は倒産することはありません。

最近の相談事例では「試算表(月次決算)では減価償却費を計上しても利益が出ている」のに、資金繰りが苦しくて心配…夜も眠れない…といったお話を伺う事が増えてきたように思います。

人件費(労務費)の上昇、材料費の値上げ、配送・運送費の上昇が続く中で、生産物や商品、サービスへの価格転嫁が上手く行ってないのです。

政府は、アンケートや調査と称して「下請けいじめ」や「価格転嫁」の実態把握に努めているようですが、仕事を発注する側(大手企業)からしたら、受注する側に競争力を求める事を諦める訳が無いので、結果として「仕事を切られるのはマズイ」という心理が受注側に働き、価格転嫁がし難い現状が続く事になっているようです。

特に請負型の契約になる、土木・建設工事関係者に上記のような例が目立ちます。

 

そう、このところ土木・建設業を生業とする中小企業の経営者から相談を受けるケースが増えて来ました。

割と業界への参入障壁が低い業種でもあり、少人数でも始められるため、ご自身の経験を活かして「脱サラ」で開業される経営者が多い業界です。

事業開始当初は、小人数で経営者自らが現場で土工・職工として汗水たらして働くため、相応の利益が出る事が多いのですが、年を経ると諸々の経費負担が大きくなり、工事も小→中→大となる中で「外注」に頼る事になり、利益率がどんどん低下して行きます。

それでもある程度の利益が出るうちは、銀行も融資には前向きで、年商の1/4程度の融資残を持つ建設業者は普通にいる印象です。

中には売上ピーク時に借りた借金が返せず、年商以上の借入金を保有している強者もいたりするのですが…

 

膨れあがった借入金を現在の利益で完済するには10年以上掛かってしまう、そんな状態に追い込まれると「返すためにまた借りる」、「また借りたらその分の返済金額が増えるので、3か月後にはまた借りないと…」という動きが繰り返されるイメージです。

そのうち銀行側から「リスケした方が良くないですか?」なんて言われてしまいます…

資金繰りに苦しみだすと本業に集中できなくなるのが、経営上のネックになります。

資金繰り対策をしていて赤字になってしまった…では何のために事業をやっているのか、分からなくなってしまいます。

早めの相談をお薦めします。

 



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