事業再生の現場から

障害者グループホーム「恵」の転落…

障害者の自立支援を「業」として行っている「恵グループ」について、同グループの創業の地である愛知県・名古屋市が「障害者支援施設」としての指定を取り消す決定をしました。

厚労省もこの決定を受けて、中京圏・首都圏を中心に全国展開する「恵グループ」の他施設についても「連座制」を適用する事を決め、その決定がつい先日報道されたのです。

利用者から「食材費」を過大に徴収していた事が上記決定の直接的な要因という事ですが、元職員や現役で働く社員の中からも、架空請求と思しき疑いのある請求や不必要な過剰サービスが指摘されているようで、同グループを巡る闇は相当深いモノがあるようです。

 

介護施設運営には「公的資金による支援」が欠かせません。

私達の給料や年金からでさえ「介護保険料」が毎月一定額で天引き徴収され、それが原資となって老人介護や自立支援施設等々への介護報酬支払となって、事業者の手元に届く仕組みになっています。

あくまで私感ですが、介護事業は「そろばん」勘定だけで参入しても、なかなか上手く行かない事か多いというイメージがあります。

サービスを提供する相手が「人間」でありしかも老人や障害者ですから、工場での生産性を超合理的論理でブラッシュアップ(磨き上げる)考え方や製品・商品の付加価値を高めるべくブランディングを企画し創造して行く作業とは自ずと違った「現場力」が必要になるからです。

その現場力とは「忍耐力」であったり「体力」「愛嬌」であったりもする筈です。

何せサービスを受ける相手が「人間」だから…。

介護事業等「人を支える事業」をやっている方は、色々な面で「立派な人」「人格者」と云うのが、私の固定観念であるからなのかなぁ(笑)

 

「連座制」適用によって複数の都府県に展開する同グループの各事業所は、行政からの指定事業者登録を失います。

指定事業者登録を失うと国保連からの介護報酬を受け取れなくなるそうです。

サービスを受ける利用者は「全額自己負担」で通所あるいは宿泊利用するしか方法が無くなるので、「指定取り消し」とは実質的に「介護事業所としてやって行けなくなる」事、つまり市場・業界から締め出す「レッドカード(退場)」の意味が込められているという事です。

会社側は「決定を真摯に受け止め今後の事を決めて行きたい」とコメントを出していますが、選択肢は相当狭まっていると言わざるを得ません。

 

 



コメント

※コメントは承認制となっております。承認されるまで表示されませんのでご了承ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です