地元企業の経営破綻ではありませんが、埼玉県戸田市の建設業者・㈱暁建設が昨日3/29付で事業を停止し、自己破産の準備に入った事が分かりました。(帝国データバンク、東京商工リサーチetcのリリース)
資本金 3,000万円、50名の従業員を抱え、直近決算では50億円を超える売上を計上している業者のようですから、地方の建設業者としては「中堅どころ」の業容を維持していたようです。
実は同社と取引する某金融機関の支店幹部から「新進気鋭の建設業者を紹介するので(経営)改善計画が成り立つかどうか見て貰う事ができないか?」と、同社の紹介を受けそうになった事があります。
昨年秋の事だったのですが、結論から言うと、当時は私も幾つかの取引先の改善計画作成とバンクミーティングを掛け持ちで抱えていた関係で、こちらの紹介はお断りさせていただきました。
事前にノンネーム(名前を伏せて)三期分の決算三表を見せていただきましたが、「新進気鋭」の言葉どおり設立は10年に満たないものの、急速に売上が伸びている事を示す決算書でした。
ただ「現金・預金」は売上規模や総資産と比較して「えっ、こんだけしか無くて…良く資金繰りが廻せますねぇ、こりゃあ社長や担当者は毎月胃に穴が開く思いでしょうね…」と思わず、つぶやいてしまうほど「流動性」が無く、貸借対照表の右側(負債の部)は長短借入金がこの数年で急増中…。
「社長がM&Aで一気に業容を拡大した事と、投資用マンションの建築に乗り出した事で資金需要が増して取引銀行もどんどん増えて行ったんですよ。うちもそうだけど、そんな勢いのある会社・経営者なんで、今まで”実態把握”と言ってもなかなか社長も掴まらないしズルズルと来ちゃって」
「なるほど、メイン行を始めとする取引歴の古い銀行が「融資ストップ」して経営者のイケイケGoGoを抑えるようにすると、新たな銀行との取引が始まってバランスシートがどんどん重くなって行く現象ね…よくあるパターンですね」と私。
その時から、私は正直「この会社は保たないだろうな…」と思っていました。
自分の業務量オーバーを懸念してその時はお断りした案件でしたが、その後もこの会社の事が気になって、時々同業者から話を聞いたり情報を頂いたりしていたのですが、昨年暮れぐらいからは支払遅延も起こしていたようで、資金繰り破綻に至る道を止める事はできなかったようです。
仮に私が半年前にこの会社に入っていても、たぶんその時点で貸増しに応じる銀行があったかどうか…先ず間違いなく今回と同じコースを辿る事になったであろうと思います。
もう少し早く、債権者が気づいて「対策」実行を会社に申し入れする事が出来なかったのか?
何年たっても、何十年経っても、こうして同じことが繰り返されるんですよね(>_<)
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