事業再生の現場から

金利のある世界に戻るという事③

先週の事ですが、取引先の社長に随行して某市の信用保証協会を訪問して来ました。

IT系サービス業を営むY社ですが、製品(アプリ製作)開発に時間と費用が必要で、どうしても運転(開発)資金が必要になります。

運転資金と言えば聞こえは良いのですが、開発コスト(人件費が最大の費用)が回収できなければ「赤字資金」の借入申込であり、慎重な対応が必要でした。

しかもY社が開発中のアプリは、大手からの開発請負案件では無く自社開発モノのため、ホントに売れるかのどうかについては正直未知数でもあり、開発費として「運転資金を申込みたい」と言い切るのには、なかなかの度胸もいる話でもあるのです。

 

信用保証協会を直接訪問する事になったのには訳があり、メイン行経由で昨夏申し込んだ融資1,000万円に対して保証が認められ実行に至った融資額が500万円だった経緯と、メイン行に年末相談に行った際に「保証協会が…」と難色を示された訳を直接知る必要があると判断したからです。

今後の資金繰り計画を詰めるうえでも、借入枠が既に限界に来ているのか、またはまだ条件によっては借入可能なのか?それを経営者が知ることはとても大切な事なのです。

 

コロナ禍にあって「ゼロゼロ融資」を推進する片棒を担がされ「ゾンビ企業の延命を助けた」と、一部のマスコミが信用保証協会を批判する記事を読んだ事がありますが、その反動なのか、近ごろの金融機関、保証協会は、新規貸出に関して「慎重」になっているように感じています。

そういう言い方で彼らに問いかけると「いやぁ、そんなことありませんよ。必要な資金は検討しますから是非相談してくださいよ」と異口同音の返事が反って来ますが、彼らが歓迎する「正常先」に格付できる企業は、財務も健全だし資金調達する必要も無い、或いは必要があっても手段・方法も複数保有するような優良企業は、そもそも私達のお客様では無いのです(>_<)

何かしら問題や課題があって、中小企業の悲哀を感じる事が多い、そういう経営者に対する「金融」機能を補完する力を是非、信用保証協会さんには発揮していただきたいものです…。

 

ゾンビ企業の定義は?ですが、簡単に言うと「金利分を事業活動で稼げていない企業」と考えて貰えれば良いと思います。

例えば借入金が3億円あって年利2.00%で借入していると、年間の支払金利額は年間600万円必要です。

この会社が営業利益300万円、プラス雑収入等で100万円収入が実績だとしたら、金利を負担しきれていない事になります。

これで債務超過(自己資本がマイナス)なら、立派な「ゾンビ企業」です。

でもこういう会社は「山のように」存在すると思います。

 

金利のある世界に戻ると、貸出金利も(変動金利扱いが多いと思うので)自動的に引き上げられ、ゾンビ企業予備軍と見られる層は、益々苦しい会社経営を課せられる事になります。

金利のある世界に戻る事を「ハッピーな未来」とも言い切れないんですよ…。

 

 



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