事業再生の現場から

思わぬ敵の出現…

中小・零細企業の資金繰りを立て直し、事業を再生軌道に乗せて行くうえで、税務署(国税局)や自治体の税務担当部署・年金事務所等、いわゆる租税当局と言われる行政機関と協力する事は、不可欠な事です。

これら租税当局には「国税徴収法」という“ニシキの御旗”があり、いざという時には、その権限により中小・零細企業の息の根を止める事も可能だからです。

そんな恐ろしい当局なので、私達も金融支援体制を組む際には「国税等の優先徴収権」に配慮して、租税債務を優先して弁済する方向で金融調整を図る場面が殆どです。

その恐ろしさですが、具体的には、税金納付や社保料(健康保険料や年金保険料等)を長期間滞納し続ける納付義務者の資産を「差押」という手段を用いる事で、強制回収できる権限を付与されている、とても強力な「執行力」を付与されているのです。

この「差押」をされてしまうと、例えば差押対象となるのは「滞納者が保有する資産」ですが、具体的には①預金②売掛金③不動産等が挙げられますけども、①預金を差押えられると、その銀行から借入をしていた場合には借入金一括弁済請求を受ける事になります。

期限の利益喪失理由に該当する、というものです。

②の場合、差押の事実が買掛先の取引先に知られる事となり「信用失墜」から、経営破綻の途に引きずり込まれる事になりそうです。

③も銀行筋に差押の事実を知られると、①と同じような結果になります。その前に「公売」が進めば資産の強制換価(売却)となりますが…

 

最近、コロナ禍で「換価猶予」をされた税金・社保料の滞納分の回収に関して、租税当局が積極的に納付義務者を指導している様子が窺えます。

特に社保料を迫る年金事務所担当者の迫力は、私から見ると目に余るものもあり…

「この滞納分ですが、換価猶予期間の残り2年間で納められる計画を出して貰えないと、売掛金を差押する事になりますが…」なんていう事を彼らは平気で言って来ます。

一行政機関の下っ端がこんなことを納税者に言っちゃって良いのか?

私なんかそう思いますが、執行機関でもある彼らは、あくまで超強気です。

ゼロゼロ融資の返済開始云々で中小・零細企業の倒産増の話題も出ていますが、これからは、租税当局の圧力に耐えかねて廃業・倒産…という例も出て来るかも知れません(>_<)

 

 



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