事業再生の現場から

コロナ借換保証制度の活用と中小企業の資金繰り

新型コロナウィルスが「人流」を止め、経済活動に甚大な影響を及ぼす段階で、金融業界は政府の支援を受け、「コロナ特別貸付」による中小・零細事業者の資金繰り支援に積極的に取り組みました。

融資件数は238万件、金額は実に42兆円に上るそうですが、それが 3年前、2020年当時の話です。

あれから 3年が経ち、これから融資元金返済の「据置期間」満了により「返済開始」を迎える融資が、やはり数十兆円単位で見込まれるそうです。

 

コロナ禍が一段落したとは言え、コロナ前の水準まで売上を戻せた事業所ばかりでは無いことや、コロナ期間中の資金繰り支援策として、多くの企業が活用した税金や社会保険料等の「換価猶予」が終了、過去債務を今後の売上・利益で納付して行く義務が発生していることで、中小企業の資金繰りは決して楽になっているとは思えません。

この事態を早くから想定した中小企業庁は、コロナ関連融資の返済開始に伴う資金繰り逼迫を回避しようと、標題「コロナ借換保証制度」を新設して、この4月から運用を開始しているようです。

ようですと断定的に言うのは、私はまだこの制度を活用した「助かりました」という声を聞いていないからです。

借換制度の活用によって、融資額の上限が引き上げられる(上限1億円)、元金据置期間が延長できる(最長5年まで延長可)、返済期間が延長できる(最大10年まで延長可)等が可能になるようです。

但し「コロナ借換制度」の活用には「経営行動計画書」と金融機関の「伴走支援」が条件となっていますので、コロナ融資の窓口となった金融機関(多くはメイン取引行だと思いますが)の支援が必要です。

つまり「今後も長くお付き合いさせていただきますよ」と、銀行・信金信組等と債務者(事業者)との合意なりお互いの了解が前提となっています。

業務多忙の中、一枚もの資料とは言え「行動計画書」を纏めるのは担当者にとっては大変な作業になると思われます。

担当者の仕事を早め自社の資金繰りを楽にするには、自社の課題を把握し的確な行動計画を早めに担当者へ伝えることが経営者に求められます。

もちろん自社・自身で計画書を纏められるのがベストですが。

それが難しい人は、窓口の担当者とのコミュニケーションを更に密にされることをお薦めします。

 

 

 

 

 



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