新型コロナウィルスの猛威が世界経済を直撃しています。
米国の4月失業率は14.7%まで悪化したそうですが、これはリーマンショック時の混乱期を超える失業率だそうです。
昭和初期の「大恐慌」時代に匹敵する失業率を予測するエコノミストもいたそうですが、さすがにそこまでは…行かなかったようで。
ただ今後も海外との交易・交流は抑制される事が予想されますし、世界的な経済成長は「急ブレーキ状態」からは少しずつ改善されるでしょうけど、回復は緩やかな筈で、少し前の「グローバル化」全盛期に戻すのにかかる時間をどんだけ要するのか想像もできません。
世界経済は大きな傷を負ったのです。
さてその「痛手」を癒すのに、各国が財政出動を始めました。
さすがに大国アメリカほどの資金を使える訳ではありませんが、我が日本国も26兆円規模の補正予算を編成しました。
例の「国民一人当たり10万円の給付金」を含めての財政出動です。
財源は「国債」ですから「国の借金」で、将来の国民が負担すべきおカネです。
国債の引き受け手は実質「日本銀行」で、今回の国債発行による補正予算成立前に、日銀は「日本国債の買い入れ額上限撤廃」を決定し表明しています。
日本国を一つの企業とすると国債という「借金」が増加するのですが、「借金」の貸し手(この場合は国債の購入者)である日銀は「幾らでも買ってやるからどんどん持って来い!!」という立場を明らかにした訳です。
国の借金(国債発行額)は益々増加し、日本国のバランスシート(貸借対照表)は膨張するのです。
ひとつひとつの企業・事業体についても、同じことが言えます。
コロナウィルスの感染防止のため「お店を閉め」売上が急減、事業者によっては前年対比売上が80%も減少している例もあります。
従業員の給与や店舗家賃・リース料、銀行への返済等々を賄おうと、政府が旗を振った「緊急融資」を活用して当座の支払を凌ぐのは当然です。
ただ借入(借金)が一時的に急増する事になりました。
しかも借金が必要だった理由は、売上急減による「赤字補填」資金です。
かつての日本では同じような事がありました。
昭和60年代から始まった「バブル経済」です。
不動産や株などの価格が急騰し、値上がりする資産を求めようと、国民は挙って金融機関から借入を行い「値上がり確実」と思われた資産を手にしました。
「国民総投資家時代の到来」と呼ばれた時代でした。
短期的に資産と負債が急増し、巷にはおカネが溢れ、誰もが多少の役得・余禄を期待できる時代でもありました。
ところが株式市場の下落と総量規制に始まる不動産価格の下落により、バブル経済は文字通り「泡」となって消えたのです。
資産価値は「泡」と消えましたが、借金は厳然として残ります。
企業・事業者・消費者のバランスシートは膨張しました。
そしてその後膨張したバランスシートの修正(某有名エコノミストはバランスシートの誤謬と言ってましたが)に20年以上の歳月を要したのです。
いわゆる「バブル崩壊によるデフレ不況」の到来でした。
今回もコロナ対策で膨張した(する)国庫・企業・事業者のバランスシートを修正して行く局面が、いずれ必ずやって来ます。
その時を見据え、想像力を働かせて準備しておくことが、経営者には必要だと私は思っています。
コメント
※コメントは承認制となっております。承認されるまで表示されませんのでご了承ください。