事業再生の現場から

成長の踊り場…秋風吹くライザップ

30数年前、「会社の寿命は30年」なる書籍がビジネスマンを中心に流行った時期がありましたが、起業して成長軌道に乗った事業体(法人)が、やがて成長の踊り場を迎え、成長率が鈍化・事業の成熟期を迎えた後、徐々に衰退して行くという流れと言うかシナリオは、時が移った現代においても、普遍の事象と言えるのだと思います。

「結果にコミットする」をスローガンにテレビCMで著名人を起用した「肉体改造」で話題となっていたライザップ(RIZAPグループ)が株式上場を果たしたのは、ほんの2~3年前だと思います。

ダイエット・肉体改造への「コミット」だけでは無く、語学やゴルフ等にもマンツーマンに近い指導陣を確保し、業容を急拡大させて行ったようです。

 

このライザップは積極的な企業買収でも知られ、自社の株式上場後は、手許にした潤沢な資金をベースに物販やアパレル等々、様々な事業会社の買収に乗り出してもいました。

“グループ総売上3,000億円を目指す”という御旗の下、異業種の様々な会社を傘下に収めて行ったライザップですが、買収先とした多くの企業は、既に成長鈍化・成熟化を迎えた「経営不振企業」が多かったようです。

徐々に手許資金を使い果たし買収資金を借入金で賄うようになって行ったようで、同社グループの自己資本比率はどんどん悪化して行きました。

 

もうひとつ問題もあるようです。

業績不振企業の買収に伴って決算上割安購入分が同社の利益とカウントされていたことです。

これ自体に違法性は無いそうです。

ただ一時的な利益かさ上げとなっている実態まで気づかずに、同グループへの投資を決めた投資家からすれば、後で実態が分かった時に「あれっ!」と思う人はいないのかなぁ…

 

同社グループはカルビーから新役員を迎え、再建に向き合うそうです。

成長エンジンを見つけるための投資(M&A)も、過ぎたれば尚及ばざるが如し…ということでしょうか。



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