事業再生の現場から

サ高住経営者の嘆き…②

前回の続き…

電話照会を機にサ高住経営の元へ資金繰り相談に駆けつけた私ですが、「一見客は基本NG」「銀行審査部より厳しい社内審査(自称(笑))」を通すには、1時間余の面談だけでは圧倒的に情報量が不足です。

気持ち的には「支援」したくても、あまり期待を持たせ過ぎるのも返って不親切です。(これは金貸としての鉄則だと思います)

この高齢女性経営者が教えて下さった情報の中には、息子さん名義(後継者で会社の役員)の自宅が住宅ローンも終わり、無担保状態にあると言う事でした。

必要な金額は、4日後までに500万円程度です。たぶん、その程度の担保価値はあるでしょう。

 

私は「高金利の街金(弊社の事)で借りると取引銀行が拒否反応を起こす事もあるので、資金繰りが心配でも慎重に考えた方が良いんです。息子さんに担保提供の意思があってお願いできるなら、メイン行に相談して担保付で取り上げて貰えるよう相談してはどうですか? まだギリ時間的には間に合うと思いますよ」と提案したのですが、社長さんによれば、その件についてもメイン行の反応は散々だったと言います。

担当者は「リスケ中に新規融資なんてとんでもない!」の一点張りだとか…

銀行が新規融資に消極的なのは、リスケ実施先で格付もランクダウンさせたリスクの高い取引先だから「これ以上リスクを取った与信はできない」と言っているんだと思います。

リスクの高い融資先であっても、資金使途や緊急性(この場合従業員給与が遅延すると事業が壊滅する懸念が発生します)、保全(担保付或いは信用保証協会への担保付け替え等)強化策によって、全く歯が立たない訳ではない筈なのです。(昔はこんな審査もやってましたが…ね)

老社長は、銀行さんとはこれ以上交渉してもムリだろうと、始めから諦め顔です。きっと嫌なことを言われて来たんでしょう。

取り敢えず「親戚・知人にもお願いできるところには声を掛けてみて!街金で借りるよりゼッタイその方が良いですよ。いちおう決算書・試算表はお預かりして検討してみますが…」と、その日は先方を辞去して来ました。

 

翌日の午後

老社長から私の携帯電話に連絡がありました。

「お陰様で昔の運送仲間の社長から、介護報酬が入るまでの間500万円を借りることができました。忙しいのに遠いところを来て、アドバイスまで貰って有り難うございました」と。

情けは人の為ならず…

短期で借入したとの事で、お友達に返済した後がまた心配ですが、取り敢えず社長さんはホッと一息ついたようです。

事務所に居ると、こんな事もたまにはあります。

 

 

 

 



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