事業再生の現場から

戦後最大の負債総額 1.7兆円 タカタの経営破綻

先週ブログで書いた自動車用エアバックメーカー・タカタの再生案件ですが、昨日6/26、報道のとおり、同社が民事再生法の申請を東京地裁に申請した事が明らかになりました。

負債総額は「1兆円超」とされた事前報道の予想を上回る1.7兆円規模になったようで、製造業者の経営破綻としては戦後最大規模になるそうです。

高田現会長兼社長は退任予定だと言う事で、タカタの行っていた事業は、中国系資本の自動車部品会社に引き継がれる(譲渡)されると言います。

最終的に自動車メーカーから事業受け皿の申し出が無かった事で、事業そのものを社外に売却するM&Aにより、創業家の経営関与を排除し、自動車部品を安定供給できる態勢の維持を最大命題を完成させた形の「事業再生」案件になるようです。

 

エアバックやシートベルト等高水準の世界シェアを保有していたタカタですが、今回、経営破綻の引き金となったエアバックの「リコール問題」では、取引先の自動車メーカーとの不協和音が指摘されていたとも伝えられています。

タカタにしてみれば、1兆円を超えるとも伝えられるリコール費用や損害賠償費用は、「部品メーカー1社だけで負える負債ではない」ので「組立メーカーにも一定割合で費用負担をお願いしたい」という気になるのでしょうし、ホンダなどのメーカー側にしても「株主のチェックがあり、おいそれとリコール負担支援の話はできない」、そんなせめぎ合いが数年間続いていたとしても、不思議ではありません。

 

結果的には「法的手段」申請により、タカタの債権者が保有する債権の大半が「債務不履行」になる訳ですが、部品の安定供給を望むメーカーや保全を図ったうえで貸出を行っていた金融機関にとっては、「悪くない」決着になったのだと思われます。

多額のリコール費用の発生等、債務の膨張が続き経営の不安定感が増すよりも、法的手続きで「決着」して貰った方が、力のある債権者にとっては後々良い結果をもたらす事も多いのです。

 

これでタカタの問題は、一山越えた事になりますね。

ところで東芝はどうなるのでしょうね…

 



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