最近の新聞・ネットを見ていると、「金融庁が(地銀)アパートローン推進に待ったを!」的な記事にやたら出くわします。
私達はこんな商売をしているから「気になって」いるのですが、日経新聞や業界紙ならともかく、最近では大手一般紙にも上記のような記事(論調)が目立つようになって来ました。
時を同じくして、先週は「50年後の国内人口」数が発表されました。
金融庁が懸念しているのは、少子高齢化が進む現在、全国的に「空き家」がもの凄い勢いで増加中であるにも関わらず、「金融緩和」による貸出金利低下という恩恵を受けた事業者(貸家オーナー)が、積極的にアパート投資に励んでいる現状を「実需の伴わないバブル」と見ているからに違いありません。
その片棒を担いでいる構図になっているのが、銀行・特に厳しい指摘を受けているのが「地方銀行」だと言うのです。
銀行が取引先の地主をアパート建築業者に紹介して、工事を請け負った業者から「紹介料」と称しておカネを受け取っている、その行為は、銀行法上「グレー」ではないのか?という記者の鋭い記事も目にしましたが、それはさておき、銀行・特に案件の少ない地方に拠点を置く地方銀行にとって、アパートローンは数少ない「優良案件」という位置付のようです。今は…
今は…と言うのは、今から7~8年前の事ですが、某銀行では「アパートローン」アレルギー的時代もあったからです。
変われば変わるモノです。
私も金融業界で30年も働いているのですから、この年になれば、アパートローンの借主・貸主にとっての「メリット・デメリット」は知り尽くしているつもりです。
確かに「相続税節税」という観点から見れば、アパートローンは有効な手立てだと思います。
ただ問題は、これは平成初期のバブル経済期に散見された事なのですが、ローン利用によってアパートを取得すると言う行為は、「資産の固定化」つまり「流動性資産の劣化」を意味します。
ご存知のように土地や家賃などの価値は「相場」で決められますが、いったん固定化した資産は、日々変化する「市場リスク」に晒されるのです。
思い切って切り上がった相場(株や土地などの資産)が、元の「実需相場」に戻ったのが平成不況・デフレの時代でした。
同じことを繰り返さないよう、金融庁はアパートローンの貸し手である銀行に「指導力」を発揮して行くのでしょうが、景気を牽引する一手である不動産業界がどう反応して行くのか?
ここも見物(みもの)だと思います(((^^;
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