事業再生の現場から

名門・東芝の解体

お早うございます。

久々宇都宮の事務所にいます。

今日の話題は、ズバリ「東芝の解体」です。

 

損失隠しが続き、株価も急落、市場からの信任を失った感のある同社でしたが、それでも「経団連会長」を輩出する等、電機業界に留まらず日本を代表する名門企業である同社を「擁護する」声は多数あったと思います。

一つには、同社の歴史が長く、財界への物心両面での貢献や指導的役割を果たして来た「実績」がモノを言っているのだと思います。

電機業界に勤務する同級生に聞いた事がありますが、「政治献金などを決める時は、まず東芝さんに業界事務局が御用聞きに伺い、東芝さん3億、日立(友人は日立勤務なので…)2億というように「格」に応じて決まって行くんだ」など、実しやかに内情を披露していました。

私が「日立の方が規模も違うし、証券コード(日立 6501 東芝 6502)だって先だし、業界首位なんじゃないの?」と聞いても、「いやいやっ、業界じゃやっぱり東芝さんなんだよ」と彼。

なるほど、東芝ってホントに「名門企業」なんだ…

 

もう一つは、東芝が「原子力」を扱っている企業である事が、政財界のエールを受けやすいことに繋がっているようです。

国の安全保障に関わる問題ですから…

原子力技術の開発を辞めてしまったら、米国との関係や大陸との関係に変化が生じた場合、日本は窮地に追い込まれ兼ねない、そのため「核」技術は保持し続けたいという事なのでしょう。

 

昨年12月末時点で1,900億円余の「債務超過」に陥っていたと認めざるを得なかった今回の報道

この3月決算に向けて、7,000億円余の赤字を埋めるために、優良事業で稼ぎ頭である「半導体事業」を分社化して外部へ売却する方針も固まったようです。

迷走が続く原子力事業と稼ぎ頭の売却で、名門・東芝は、実質「解体」に追い込まれたと見るべきでしょう。

 

元を糾せば「海外原子力事業への投資」が失敗の始まりだったとの記事が続きますが、海外資本に買収されたシャープも「液晶パネルへの一極集中投資」が失敗の始まりでした。

「選択と集中」が持て囃された時代から、様々な将来リスクを勘案しながらも、成長のための投資を継続しなければ生き残れない現実…

経営者の責任は、規模の大小に拘わらず「重い」と言う事でしょうか。

 

 



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