事業再生の現場から

「実現」させるため「構想」を練っている筈なのに…

先日、取引先で「新規事業」に参入するための貴重な人材が見つかり、その採用面接に同席させて貰う機会がありました。

と言うか、某社の下請作業(部品加工)を続けて来た体質から、元請企業への脱却を目指したい意向を持っている弊社取引先のA社長が、「まず参入を目指すとしても資格を持っている人、営業ができる人材が居ないと新規参入も何もできないし、そんな人材イマドキ見つからないだろうなぁ」と、役員ミーティングの席上ボヤいているのを聞きつけ、「それじゃぁ人材が居て、ローコストで事業立ち上げができるようでしたら、当社として○○事業を新たな収益の柱に育てて行くつもりはあるんですね」と確認を取ったうえで、B氏(入社希望者)をA社に紹介したのが私です。

B氏は事情があって現在は浪人中ですが、かつてはA社が参入しようとする業界で50年以上も働いていました。上場企業で部長職を務めた後、自身で起業した会社を率いピーク時売上は20億円超もあったのです。

70歳を過ぎた現在も、同じ業界で知人の会社を手伝い「悠々自適」の生活を送っていますが、「機会があれば死ぬ前にもう一度カムバックして一花咲かせたい」という意向を持っている事を私は知っていました。

 

A社が参入したい業界(元請になって価格決定権を持ちたいと言うのがA社の長年の夢です)の経験値(業界経験に加えて経営者経験もアリ)が高く、その業界では最高位の資格を保持し、業界各所に友人・知己などの人脈を数多く有するB氏。

私は自信をもってA社に紹介したのです。

 

ですが、A社長の反応は… 正直イマイチなのかなぁ。

B氏の高齢を理由に「Bさんが居なくなったら…」そんなことを口にします(ToT)

「この待遇(Aさんにはローコスト待遇をお願いしました)で有能な人材を社外に求めたら、給料だって月50万円でも来ないと思います。年齢は問題ないと思います。事業が軌道に乗ったら若手を採用して、Bさんに後継者育成もお願いすれば良いのです。本人はリベンジの気持ちもあって、再参入できるなら処遇なんて二の次くらいの考えですから。下請を脱却するには千載一遇のチャンスですよ」A社長を説得しても、社長は益々困り眉を寄せるのです…。

 

構想(空想・妄想)が、イザ実現する運びになると、足踏みをするタイプの経営者がいます。

A社長は、まさにそのタイプ!?

「えぇーぃっ、ままよ!!」的な決断をするタイプでは、確かにないと思います。しかし決断を延ばすとチャンスを逃すことになり兼ねません。

このコストで事業立ち上げができて、業界参入ができるだけでも「御の字」、もしかするとB氏が社外から持ってくる情報・仕事が、A社の第二創業を支える事業になるかも知れないのに…。

うーんっ、もどかしい…



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