事業再生の現場から

やるせない思い…介護事業者の憂鬱

国家予算のおよそ3分の1は、社会保障関連費用だそうです。

現在の社会保障関連予算は、実に30兆円近くにも及び、その財源を確保するため、消費税率の引き上げが論議されてもいます。

少子高齢化が猛スピードで進み、皆が将来・老後に不安を抱える昨今、こんな話を聞いて来ました。

 

昨日、懇意にしている社長さんで、介護事業所を経営しているH氏に久し振りに、会いに行ったんです。

寝不足なのか冴えない表情のH社長に、「どうしたんですか、今日は?いつもスーパーポジティブなH社長なのに、なんだか浮かない(表情)ですね」と、思わず声を掛けてしまいました。

H社長は、まだ30代バリバリの青年で、いつも爽やかに私を迎えてくれるのですが…。

眼の下に隈(くま)ができているんです。

「パートさんが定着しなくて、昨日は私が宿直を代わったんです。今週3日目ですよ(涙」H社長は続けます。

「別にうちの給料が安いから辞めるんじゃなくて、事情があって、職員のモチベーションが上がらないと言うか、倦怠感みたいな重ーい空気が職場全体を覆っている感じなんですよ、なんかやるせなくって。」

どうしたのよ?と、事情を聴きたくなった私。

「3か月くらい前かな…、空き室があるならひとり暮らしのご老人を入所させてくれないか?と市役所から打診があったので、空いていた3部屋を埋めようと、受け入れたんですね。ただちょっと、問題があって…」

思わせぶりな態度に「でっ、何が原因なの?」と前のめりになる私。

H社長は、その理由をハッキリ教えてくれたのですが、確かになかなか“微妙な問題”を含んでいるように、私も感じました。

社長が言うには、市役所から“お預かりした”3人が入った後の言動から、入所者やパートで一生懸命働く職員が、「社会が優し過ぎると、真面目に働くのが馬鹿らしくなる」的な空気感が醸し出されるようになってしまったんだそうです。

「日本の社会保障政策は、絶対にゼッタイに破綻しますよ!! あれじゃあ、誰だって真面目に働こうなんて思いませんよ。少ない年金をやり繰りして、食べたいものも我慢して生活する老人が多いのに、一方では入居費も通院治療費も公費負担、働けるのに働くと公費が貰えなくなるから、我慢して働かなかったという人達を“丸抱え”で面倒みてるんですもの。あーゆーのを見せられると、職員も働く意味を見いだせなくなっちゃうんですよね。もう役所から紹介されても、うちは入れませんよ」

H社長の嘆きと憤懣は続きますが、今日は此処まで。

続きは次回に…。

 

 

 



コメント

  1. それって多分、生活保護受給者でしょう。
    受給して当たり前みたいな風潮ですから。
    それに以前は生活保護受給者は影の世界だったのが、今は変に市民権を得て当たり前だと思ってるのが現状ですから。
    医療の現場はもっと現実は酷い状態のようですよ、特に公的な受け入れをしてる医療機関は尚更とのことです。
    憲法で言う「基本的人権はいかなることがあってもこれを保障する」
    これが元ですから、なんとも権利の乱用のような気がするのは私だけでしょうか、正直者が馬鹿を見る社会は長続きしないと思うのですがね。

    • 村上 浩 より:

      山田の案山子様

      H社長の論旨も全く同じでした。
      社会の矛盾を現場で知る者として義憤を感じているようでした。
      続きの話は次回…

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