昨日の新聞に、上場2,000余社の2015年度新卒採用予定数が掲載されていました。
景気回復を受け上場企業の新規採用数は、2014年(平成26年)新年度より更に増やそうとする企業が多いようです。
団塊の世代の大量退職が始まって「技術の伝承」が間に合わなくなってしまう、との危機感で騒がれていたのは、2009年頃だったでしょうか、もう数年も前になります。
技術伝承をリスクと考える企業では、数年以上前からその対策を取られていると思いますが、大手に比べて人材獲得が難しいとされる中小企業では、なかなか思うように技術の伝承が進んでいないとの声を聞きます。
先週、金属加工を手掛ける某社長から次のようなお話を聞きました。
「(加工)単価引き上げまでは行かないけど、製品の受注量が増えて来た。製造ラインを増設したいんだが、人を募集してもなかなか集まらない。社内では定年年齢を引き上げて65歳にしてあったが、その後も1年毎の契約社員として古株(の技術者)に頑張って貰っている。今65歳の定年を超えた社員が4人居るが、彼らが病気にでもなったら、うちの会社は潰れちゃう…」
この会社は、社員が12名の典型的な中小企業。
製造現場では、10名前後のおじさんが、それこそ“油まみれ”になって働いています。
社長が仰るには典型的な「3K」職場だそうで、景気が悪い時期こそ若手社員獲得のチャンスだと、ずーっとハローワークに求人を出していたそうですが、平成10年以降社員の採用が無いそうです。
つまり此処15年で、社員の平均年齢もそのまま15歳上昇した事になります。
「うちは車に搭載する○○部分の××を作っているんだが、うちがやらないとしたら、メーカーは新たな供給元を捜さないといけない。うちみたいな会社を大手が買収することは無いだろうが、資本力のある所がバックアップして社員の待遇を良くする工夫をしないと、日本のモノ作りが破綻してしまうんじゃないかな」
この社長さんは、M&Aを視野に入れて考えているそうです。
技術のあるベテラン社員が健在なうちに…。
「技術の伝承」にどう取り組んで行くか、悩んでいる経営者が多いようです。
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