昨日の続き…
○○社の資金繰り破綻の直接的な要因は、信用低下による「手形割引」取扱の停止によるものだったそうです。
どういう事かと言いますと、資金繰りを維持するため○○社は取扱商品仕入の60%を手形で支払っています。
手形と言うのは実に便利なモノで「流通性」がありますから、最終的な所持人は手形振出人(○○社)の全く知らない人になるケースが多いのです。
例えば○○社に商品を納品しその60%の手形(例えば600万円)を受け取った××社は、自社の支払の一部を○○社から受け取った600万円の手形で支払った事にしましょう。××社から600万円の手形を商品代金として受け取った△△社は、また自社の支払のためこの600万円の手形を□□社に支払うかもしれません。
こういった支払方法を「手形を回す」とか「回し手形」とか言います。手形には「流通性」がある、とはこういう事を指しているのです。
また「手形割引」という方法で、手形を現金化する事もできます。
通常銀行や金融業者等が商品代価として流通する商流の裏付けある「商業手形」を一定割合(利率)で割り引いて、現金を交付するやり方です。銀行では「融資」に準ずる取引ですが、法的には手形の「売買」になります。
今回○○社の破綻の引き金になったのは、この「手形割引」がきっかけでした。
金融機関等の場合、手形支払人の「信用調査」を随時実施していますが、前述の通り手形には流通性がありますので、日本全国何処の所持人が金融機関等に保持する手形を「手形割引」依頼するのか、支払人(○○社)は想像すらできません。
○○社とすれば「約束した日」に手形を落とせば良い、と思っているだけです。
ところがこれは「手形に信用がある」場合だけに許される特権です。
A社長によると、西日本の某社に渡った手形が某銀行で「割引できない」手形と認定されたのだそうです。
いわゆる「割り止め」という措置です…。
手形所持人は“泡を喰って”取引先に連絡します。
「渡された手形が割引できないって…。現金で払ってくださいよぉ!」と。
今度は、手形が渡った順番と全く逆の順序で悪い話&手形現物が回って来ます。
最初に○○社長の手許に戻った手形は数十万円で、現金支払に変えても「どうって事ない」レベルの話だと、社長はタカを括ったのでしょう。弊社にも無論A社長にもそんな事実は相談して来ませんでした。
一度「割り止め」を喰うとどうなるか、そんな事は経験した事のない人には分かりません。
話が長くてエンディングが…。
明日に続きます。
「割り止め」初めて聞きました
読んでて相当まずい状態は察しますが
どの程度状況が悪いのかチョット想像がつきません
いまだそういう状態に遭遇したことがありませんので
未知との遭遇です・・参考になりますのでその後の結果お願いします
山田の案山子様
いつもご愛読有り難うございます。
許される範囲での情報提供ですので
伝わり難い点が多いと思います。
明日が最終回ですが、その点うまく
伝えられれば…と思います。
度々ですみません
手形の割引は割り引く本人(会社)の実力で割り引くと思います
ですから割り引けないと言う事は割引に出した会社も問題だ
と言う事になるのではと思いますが?
その辺は如何なのでしょうか?
不渡になれば割り引いた手形を買い戻すのも割り引いた会社
そういう風に思っていましたので
割引に出した会社の信用も低いのではと思います
山田の案山子様
そうですね。
手形割引を受けるか受けないかの判断材料として
当然割り引くご本人の実力も問われます。
いわゆる「依頼人本位」での取り組みという考え方です。
これに対して手形銘柄の信用を重視して取扱うパターンを
「銘柄本位」とか言ったりします。
本件ではご指摘の通り、割引依頼人さんの信用も?なのかも
知れませんね。
しかし本来は手形は「信用」前提で回るモノで、取得した
所持人が「現金に準じる」決済手段として使用できなければ
本来の役割を果たしているとは言えません。
如何に割引依頼人の力があっても、銀行によっては「割引不可」と
する処があるんでしょうね。
本来そうあるべきだと私も思います。