事業再生の現場から

代位弁済

私達金融業界周辺で生活する者にとっては、日常茶飯事的に聞いたり話したりする言葉ですが、「代位弁済」とは文字通り「主債務者に代わって保証人(機関・会社)が債権者に金銭を弁済する」ことを言います。

事業会社であれば、上場企業などの規模の大きい会社に比べて財務基盤が弱い「中小企業」が、都道府県毎に整備された「信用保証協会」保証を付けて銀行から資金を調達する機会は多いと思いますし、増して「起業」して未だ日の浅い事業者(会社)が様々な資金需要を満たす手段としても、少額の保証料負担で多額の融資を得られる「信用保証制度」は優れた資金調達手段だと思います。

個人の場合もまた然り。

私達が一般的に利用する「住宅ローン」も、銀行によって保証委託先は違いますが、殆どの住宅ローンには「保証会社保証」が付保されています。住宅ローンの他にも「消費者ローン」と呼ばれる自動車ローンや教育ローン、カードローン等々は殆ど全てが保証会社の保証が付いていて、だからこそ銀行は安心して資金ニーズに応えられている、と言っても過言ではありません。

昨日「タイミングの問題かなぁ」で取り上げていたリスケに掛る案件で、メイン銀行との調整が不調で借入金弁済が滞っている事案について、当該銀行窓口に社長と共に呼び出され、前述「代位弁済」の通告を受けて来ました。

私や社長にとって予想通りの展開で、こちらとしては「シナリオ通り」なのですが、債権者たるメイン行担当者とその上職者は“もったいぶって”と言いますか、なかなかはっきりと言ってくれません。

「それは、つまり、代弁請求手続きを始めると言う事ですか?」と私。

「当行としても重い決断ですっ!」と担当者。

とうの昔に、今日あることを予想し、そうなってからでも「生き抜く」決意を固めている社長と、そのための実務的な支障を可能な限り限定的なモノとすべく社内外に指示を飛ばし、もはや何の憂いも無く事業継続が可能になったと考えている私。

この銀行の人達にとっては「代位弁済」で当社とは“バイバイ”でも、私達は保証協会と折衝を続け、競争力を維持しながらこの会社を引き続き引っ張って行かねばなりません。

銀行屋さんは、気楽で良いものです。

が、そうは言いつつも、リスケ依頼後もこのメイン行が、当社の資金繰りの足を引っ張らなかったことには感謝しなければなりません。

吹っ切れた社長は仰います。

「裁判で売掛金を回収したら○○行に預金してあげますよ」

その日をひたすら期待しましょう。(^o^)

 



コメント

※コメントは承認制となっております。承認されるまで表示されませんのでご了承ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です