事業再生の現場から

経営者リスク③

問題の会社の売上・収益構造を切り開いてみると、主に3つの部門に分けられます。

部門Aは相当額の設備投資資金を要しましたが、手間いらずの事業で人件費負担が少なく高収益事業。

銀行からの借入金は、この部門だけの収益で10年以内の完済が期待できます。

ここは手を入れる必要はないと判断しました。

部門Bは、事業所を賃借したうえ多くの社員を必要とする「労働集約的」な事業です。

ここは端から収益的に「要注意」であろうと思われる事業部門…。

部門Cは、自社所有物件を活用した事業所で働く社員も古株が多く、現地調査の際も言いようの無い“倦怠感”が漂う微妙な雰囲気。

なんて言ったら良いのでしょう。諦めムードと言うか“どよーん”とした空気なのです。

社長の了解を得たうえで、社内の組織図を片手に事業運営上の「キーパーソン」となりそうな社員さんと面談を重ね、情報を集めました。

ある程度予想していた事ですが、社員からは経営陣に対する不平・不満の声が多数聞こえてきます。

ただ先代社長にも仕えた古参社員で現社長に「モノ申せる」古株からは、「現場はもっとやれって言われればやるよ!社長に危機感がないんだよ。B事業だって“赤字事業”なのは、社員誰もが知ってること。それを社長の“メンツ”ひとつで辞められないだけ、このままじゃ会社も潰れちゃうって言ってるんだ、俺たちは…。」

B部門は赤字だとの事ですが、それが年間幾らの負担で改善見込みが無いのかどうか、これから私達が調査して社長に判断材料を提供することになりますが、社内の隅々まで知っている古参社員さんは“皮膚感覚で”採算が取れてないことを感じています。

こういう社員を大切にしないと…。

現状少しずつ同社の実態が社内情報と伴に明らかになってますが、最終的に「判断」を下す経営者のモノサシが狂っているとすれば、その企業関係者が将来「多大な」影響を受けることにも成りかねません。

銀行が企業を診る場合「経営者リスク」に焦点を合わせる事があると始めに書きましたが、やっぱり必要なチェック項目なのでしょうね。

逆の見方をすると、社長なり経営者を補佐する人材に有能な社員が居る会社は「強い」と言う事ですね。

うん、確かにそうだ!

私の顧問先にも、そういう会社がありますわ♪



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