前号の続き…。
「でも同じ人がどうやって何回も事業を再興できるんですかね? 普通は信用を失うと、人は離れて行くものですよ」と私。
「業界特有の体質というか、とにかく下請先というのは常に仕事を“待っている”立場なんだ。仕事をしないと食べて行けない訳だし、そういう時に過去の経緯はあっても、“仕事を取ってきてくれる”発注元というのは、実に有り難い存在に映るもんだよ」と社長。
ついでですが、恰幅の良いG社長(下請け喰いのGと呼ばれる男)のビジネス上の強みとは、現在の住宅販売業界では常識なんだと思いますが、とにかく消費者志向を徹底的に追求したした「マーケティング力」にあるようです。
40年前から「ローコスト住宅」を標榜した企画住宅を消費者に提案、とにかく「安くて早く」第一次取得者(20代~30代前半の若者)向けの住宅を、新聞広告や業界紙、ある時はTVやラジオ等の広告媒体も使ったことがあるそうで、徹底的な販促推進を得意してきたとか。
「家は大工さんが創るもの」の時代に、大胆な発想ですよね。
事業再起後の運転資金は、前社を整理した際に残した資金を充当し、施主側からは契約金・中間金・最終(引渡)金を「前受金」状態で受け取り、材料代や下請先への支払は極力後回しにする事業形態を取って来たと、某社長は“苦々しげに”仰います。
お客様(施主)から常に「前受金」の形でG社が資金を回収し、下請先への工事代金をできる限り「後ろ倒し」する資金繰りなら、G社に銀行借入を必要とする訳が無く、従って金融機関の信用を失っても、資材供給と施工業者さえお金の力で繋ぎ止める事ができれば、何回倒産しようとも、何度でも「再興」はできるのでしょう。
社長は「再興直後はさすがに業者も警戒するから、支払条件を良く(早く)してあげて、徐々に支払サイト(期間)を長くして行くのが奴の手口だよ」と言います。
「そして手許資金が溜まり切って下請先への未払金(買掛金)が最大になるタイミングを図り、事業整理を表明・実行に移すんだから、慣れたもんだよ。奴はプロだよね、どうも困った奴だ」
まぁ、G氏も「敢えて」と言いますか「わざと」事業整理をしているとは思いたくないのですが、某社長に言わせると「端(はな)から決め打ちだよ」だそうです。
「下請喰いの怪物G氏」恐るべし!!
弊社の取引先が関わることの無いように(祈)
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