この2年間ほど「嵌っている」作家がいます。
中国の歴史上の人物に焦点を当てた数々の秀作で知られる「宮城谷昌光」先生です。
事のきっかけは、3年くらい前に読売新聞で連載が始まった「草原の風」という新聞小説をたまたま目にした事でした。
後漢王朝の高祖となった「劉秀」の活躍を描いた作品です。
毎日の続編が楽しみで、付き合いで取り始めた読売新聞でしたが、とうとう1年以上購読する事になりました。今はもう変えちゃいましたが(笑)
この新聞小説で、宮城谷先生の文章に「嵌ってしまった」私は、次々と宮城谷作品を読破して行く事になり、次第に古代中国の歴史に関心を持って行く事になりました。
まぁ、調子に乗って手に入れた「史記」や「十八史略」なんぞは、1年以上経っても読破できず、書棚の肥やしになっちゃいましたが(笑)
宮城谷作品で取り上げられる人物は、古典や故事、社会科の教科書にも出てくる実在の人物であったりと多彩です。
例を挙げると、歴史上確認できる最古の王朝「夏」を倒す殷(商)の湯王を助ける伊尹(いいん)、暴君で知られる殷の紂王=“酒池肉林”の語源、その紂王を倒す事になる周王朝の革命を助ける事になる太公望=“三顧の礼”の語源、等々枚挙に暇がありません。
特に、周王朝下封建された公国・侯国が勢力争いを始める「春秋時代」から秦の始皇帝によって中国が統一されるまでの戦国七雄の覇権争いが続いた「戦国時代」を描いた作品群は、いずれも“秀作揃い”で、自信を持って皆様にお奨めできる作品です。
私達でも聞いたことのある兵法書「孫子」の生みの親である孫武や孫臏(そんぴん)も春秋・戦国時代に実在したと言われる人達です。
NHK大河ドラマでも視聴率が良いのが「戦国時代」や「明治維新」前後を扱った作品だと言われますが、中国の歴史モノも宮城谷先生が扱う、春秋・戦国から三国(魏・呉・蜀)時代が一番面白いと思います。
改めてビックリなのが、この春秋時代って日本で言うと縄文後期から弥生時代に相当するってこと。
この時期中国では、指揮官(大夫)は車輪と革をなめした兵車(馬車)を使って数万人の兵を指揮して戦争を行い、一方で国と国とが「盟約」によって安全保障を保持する等の外交を行っていたそうです。
日本はまだ“邪馬台国”の邪の字も無かった頃です。
やるなぁ中国…。正直そう思います。
“中華の光”が届くところは中国なんだ、と中国人は言うそうです。
経済圏の拡大や人民解放軍の膨張によって、領土拡大(尖閣諸島や南沙諸島問題)や世界中での権益拡大に向かう現代中国。
内政の矛盾と強面の外交姿勢が行き着く先は、いったい何処にあるのでしょう。
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