今朝の日経新聞で取り上げられていましたが、中小企業の資金繰りを、ある意味支えていた「中小企業金融円滑化法」が今月末を持って期限到来となり、今後は金融機関による「金融支援」から、主眼が「事業再生」に移行して行くだろうとの事です。
“隠れ不良債権”を早期に浄化したい大手金融機関や、弱者には“市場からの退場”を求めたい勝ち組企業の意向もあって、どうやら「円滑化法」は、その役割を終える事が確実な情勢です。
新聞等マスコミが予想するように、果たして(円滑化法が期限切れとなる)4月移行の倒産が増えるのでしょうか?
私は、中小企業の倒産は増えると思います。
但し、倒産の理由は「円滑化法」の終了では無く、「増加運転資金」不足による“資金繰り破綻”企業の出現です。
中には、企業損益としては“儲かっている”のに支払不能に陥る「黒字倒産」企業も続出すると見ています。
なぜなら、東日本大震災被災地の復興需要や政府の景気刺激策(公共事業費増大等の財政出動や大胆な金融緩和策の拡大)によって、日本は、モノの値段が騰がるインフレ社会へ舵を切り始めました。
企業にとっては売上も増えますが、材料費、外注費、労務費(人件費)、経費etc全ての物価が騰がります。
売上金を回収するまでの間(売掛サイト)、企業は手許資金でこれらの費用を負担しなければなりません。
材料費(買掛サイト)等は、多くの企業が売掛サイトより長めに設定してあるでしょうけど、従業員給与や現金仕入分などは売掛金が回収できる前に、手許資金で賄わざるを得ません。
例えば、公共事業への期待が高まる土木・建築業の場合を考えてみましょう。
A社は、取引銀行全ての借入金をリスケジュールして「金融支援」を受けています。
その代わり“自賄いでの資金繰り”を銀行側から指導され、この2年間、銀行からの新規融資実績はゼロです。
そこに緊急経済対策の県発注土木工事(総工費1億円)を見事受注しました。
実行予算では、2,000万円以上の利益が見込めます。
県発注の公共事業の場合、出来高が進めば工事代金の一部を払い出し申請できる制度もありますが、出来高が一定以上進捗しないとそれも使えません。
銀行へ「増加運転資金なので…」と融資を申込んでも、「リスケで支払猶予するのが銀行としては精一杯の支援です」と担当者に一蹴されてしまいます。
外注先も「自分ところの社員の給与も払えない」と支払に矢の催促です。
工事は途中まで進み、完成検査を経れば、材料費・外注費等の支払を終えても、A社としては数年ぶりの莫大な利益を上げられるのに…。
こんな事が、全国各地で起こってしまわないか心配ですね。
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