事業再生の現場から

金融円滑化法の後に⑧

3月末に期限を迎える「中小企業金融円滑化法」。

中小・零細企業には、“セーフティネット”機能として、都道府県単位で「中小企業再生支援協議会」が金融機関と提携したうえで事前に支援体制を組んだり、「再生ファンド」を立ち上げ、候補先をリストアップしたりと、具体的な支援策が見えるようになって来ました。

ただ円滑化法終了間際のこの時期になっても、手付かずと言いますか、具体的な“激変緩和措置”の見えない分野があります。

「住宅ローン」をリスケ支援している「個人」への対策です。

現行の「円滑化法」では、事業性融資だけで無く、「個人ローン」についても、金融機関に“資金繰り支援の為の努力義務”を課して来ました。

それが、3月末で撤廃になる予定です。

例えば、住宅ローンについて考えてみましょう。

Aさんは、上場企業の地方工場に勤務する45歳、高校卒業後入社して28年のキャリアを持つ製造ラインの係長。

家族は奥様(パート勤務)に子供2人(高校生1、中学生1)が居て、昨年度の年収は500万円程度。

8年前、ご長男の小学校入学を機に住宅ローン(2,500万円)を組んで、念願の一戸建てを購入しました。

但し、リーマンショック後の大混乱と東日本大震災、更に一昨年からの円高進行による業績悪化の影響を受け、年収は4年前の660万円をピークに漸減傾向にあります。

住宅ローン契約当時は、年収の5倍程度の借入で、30年あれば「何とかなる!」と“一念発起”したのですが、経済情勢の変化と賞与激減で、住宅ローンを「リスケ」要請、元金返済ゼロ・利払いのみで銀行から支援を受けている状況です。

銀行からは、「一応2年間の期限を区切って支援します」と伝達されていますが、実はH25年5月にその期限が到来するのです。

「どうしたら良いでしょうか?」  知人を介して、弊社に声が掛かりました。

せっかく手に入れた夢のマイホームです。 子供さん達も学校の事もあって転居など思いもよらない事でしょう。

さて、どうしたら良いものでしょう?

多分日本全国、至る所でAさんと同じ悩みを持った「住宅ローン契約者」がいらっしゃるんだと思いますが…。

余計な事は考えず、まずご縁のあったAさんについてだけ、全力を挙げて“再生の道標”を探って行かないと…。

 

 

 



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