熱波
毎日暑い日が続いている。
こう暑いと思い出されるのは「エドマクベイン87分署シリーズ」である。
小説はいつも決まって風景描写で始まる。
大都市の夏。
熱波に居座られ、アスファルトからの照り返しに喘ぐ架空の街「アイソラ」。
表現(多分訳も)が秀逸で、読んでいるうちに不思議と汗が滲み出る。
映画のカットのように、林立するビルが陽炎に揺らぐ。
そこには「都市の暑さ」と「そこにいる人たちの汗の臭い」が醸し出されている。
今は亡きエド・マクベイン。
キャレラやマイヤー、コットン・ホースやバート・クリングの汗。
キャレラの双子の子供たちの行く末。
死んだ耳の男や暑さで苛立つ犯人。
もう一度、彼や彼女の新しい姿に会いたいものである。
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