「漆の実のみのる国」
座右の書、人はだれでもそんな一冊を持っている。
私のそれは藤沢周平著「漆の実のみのる国」である。
作者のほぼ遺作に近いこの作品、
内容は江戸中期の名君「上杉治憲(のちの鷹山)」の半生記なのだが、
言い換えればそれは「果てしないリストラ」物語である。
「藩」という事業体の経営者が、
ひたすら従業員(家臣)や取引先・お客様(領民)のため、
赤字経営を反転させ(PLの改善)、財務内容を健全化(BS)するという、
現在のでいう「ターンアラウンドマネージャー」業務。
こんなことを、200年以上前の経営スキルの無い時代にやっていたのだから凄い。
この本との出会いはちょうど10年前。
当時は今ほど人気の無かった藤沢作品、
その中でも地味な部類に入り、話題の本というほどではなかったが、
コアなファンである私、とりあえず買ってみた。
しかし、読んでみて感動。
読み終わったとたん、すぐに舞台となった「米沢」行ってきた。
何が凄いかって
上杉鷹山の生き方、考え方、実行力、そして「愛」。
今風に「これぞターンアラウンドマネージャーの鑑」ということか。
時間があると、繰り返し読む名著、
こうして再生に関わる事業を始めた私、
そのときは開業独立など考えもしなかったが、
後に背中を押してくれた「運命一冊」なのかも知れない。
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