難しい注文
企業は人なり。
よく聞く言葉だが、弊社の仕事において痛感することが多い。
あるM&A案件でのこと。
スポンサー企業より「M&A成立の条件」として
「一人も欠けることなく引き継ぐこと」という注文が出た。
これは最も難しい注文である。
会社の中には様々な人が働いている。
働く動機は「生活のため」というのが大半であるが、
中にはオーナーに対する忠誠心や仕事に対する「こだわり」というケースもある。
M&Aの場合、その辺を充分考慮し、
処遇の継続や、ポジションの確保、仕事の同一性などに特に気を配る。
しかしいざ、M&Aを発表し従業員全員で新たなスタートをと思うと、
どのケースでも一人、二人と欠けてくる人が出てくる。
組織・不動産・そのほか会社で必要としているあらゆる心のない「モノ」は、
金銭や契約といった形で移転することができる。
しかし「人」には心があり、それは法律や契約、経済効率や金銭で縛ることは出来ない。
だから「一人も欠けることなく」というのは最も難しい注文である。
その案件、成立まであと数ヶ月。
「一人も欠けることなく」引き継ぐため、
残り少ない日々、出来る限りの手を尽くすことになるだろう。
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