萌芽

あるクライアントに訪問したときのこと。

その会社、再生会社としてちょうど1年前に新会社を立ち上げ、

ようやく業績が回復しつつある。


しかし、その会社の社長、

「この頃どうも従業員の様子がおかしい」と感じている。


1年前、ほとんど倒産状態から始まったその会社、

ようやく傷も癒え、お客も戻ってきた。

売上・利益ともそこそこ順調に計上できるようになった。


しかしある日小さなクレームがあり、そこで社長は異変を感じとった。

自分を含め、みんな「慢心」しているのではないかと?


会社が苦しいときは、社員全員張り詰めた気持ちでお客に接していた。

しかし、少し経営状態が楽になると、その気持ちを忘れてしまう。

せっかく危機から脱したのに、これでは元に戻ってしまうのではないか?


経営にミスや失敗は付き物。

でもそれを小さなうちに処理し、その萌芽を摘み取ることができれば、

大きな惨事を防ぐことは出来る。

クレームは経営のゆがみを知らせてくれる警報。


その社長、まだ30代前半の若者。

失敗を反省し、改善していく中で、彼は立派な経営者になっていくことだろう。

そう考えた時、苦難を乗り切ったその会社の明るい未来が見えてきた。



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