無垢な債権者
しばらくお休みしてしまったけど時は春、
蠢動よろしくブログを再開します。
再生の仕事をしていると、時々珍しい光景に出合う。
「無垢な債権者」の存在である。
普通、債権者というのは会社に対して自己の利益を期待するもの。
買掛先・金融機関・租税債権者・・・いずれも基本にあるのは回収することで利益が生じる人である。
でも、たまにそうでない債権者と出会うこともある。
そういう人たちを「無垢な債権者」と呼んでいる。
例えばこんな人達。
会社の資金繰りが詰まってしまってどうしようもない時に、
消費者金融から借りて会社へ資金を貸し付けた「経理担当者」。
(どうみても返済できないのは解っているのに・・・)
従業員が路頭に迷うのが忍びなくて、追加支援に応じる「株主」。
(経営状態の悪化は取締役の責任なのに・・・)
こういった債権者のいる会社は、
長い間赤字が続いていても業績改善に向けるモチベーションが低くて、
「無垢な債権者」の債権額が日々増加する。
(帰ってこないのに、また追加支援する)
仕事柄、債権者の色分けをすることが多いが、
実際の現場に入ってみると、この「無垢な債権者」のポジショニングが難しい。
再建再生のためには「マンパワー」として必要な人ではあるが、
かといって旧債権を満額返済するとなると再建は覚束ない。
零細企業の再生はそんなジレンマとの闘いになってくる。
人を守り、仕事を守る。
自分で決めた会社の使命が時として重荷となる場面である。
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