25. 保証協会代弁後、第二会社を活用して再生を目指す事例
業種 | 貨物運送業 |
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事業規模 | 年商 4億円 |
従業員数 | 12名 |
資本金 | 800万円 |
業歴 | 47年 |
[問題点]
- バブル崩壊以降、景気低迷期が長期化、主要顧客である建材メーカー向売上が激減。減車や人員リストラで資金繰りを回して来たが、新倉庫設備投資で調達した銀行借入返済が遅延、数年前に保証協会へ代弁されている。
- 社長、妻、長男、長男妻の4人が、金融債務の連帯保証人に徴求されている。
- 車輛の老朽化に伴う修理費の増加と燃料費負担が経営の重荷。低燃費の新車輛を購入したいが、銀行借入不可で車輛の入れ替えが遅れ、高コスト体質が続く。
- 同業他社から運転手の引き抜きが相次ぎ、結果的に労務費負担が増加している。
解決までの流れ
- 旧知の税理士紹介案件、再生の手段として何か良い知恵がないか、とのニーズ。
- 保証協会代弁先であるが、保証協会には月額10万円ずつ、メイン行・政策公庫には、合わせて40万円ずつの元金(優先)弁済を続けている。
- 昨今の景気回復を受け、物流需要が回復。試算表ベースながら、現状は月額100万円前後の営業利益を計上している。但し旧債務弁済が続いており、資金繰りは常に逼迫感あり。
- このまま成り行きで弁済を続けて行った場合の「未来像」と、仮に旧債弁済を止めたうえで事業を継続した場合の「リスク・メリット」を説明、どちらがY社およびY社長の家族にとって有利な取引になるのか、家族を交えて真剣に検討した。
- 旧債務弁済を停止すると、Y社の倉庫とY社長の自宅が競売に出される恐れあり。検討の結果、自宅は銀行評価額でリンクスが買い取り(任意売買=後日買戻特約付)、倉庫は、Y社長の古い友人で同業Z氏に購入して貰い、Y社が賃貸する形での事業継続を目指す方針となった。Y社長の次男を代表にした新会社(Y2社)を設立、一部車輛をY2社に譲渡、貨物運送業の許認可を申請開始。
- 自宅の売買を保証協会、メイン行に打診、時価(1,800万円)での買取について了承。自宅をリンクスが取得、Y家は賃借人となり引っ越しを回避した(3〜5年後、次男名で買い戻す予定)社有倉庫も時価(8,000万円)で、Z氏への譲渡が完了。
- Y2社が貨物運送業の許認可を取得、メイン行、保証協会と政策公庫に「事業譲渡」スキームを説明、主要財産目録の明細とY社車輛のY2社への譲渡代金800万円(時価)を、各債権者にシェア割返済。Y社は廃業するが、今後連帯保証人4名から、月額給与の一部5万円ずつを支払う約束を締結。メイン行は、融資債権をサービサーに売却予定であり、譲渡時配当を持って弁済停止。
- 車輛の入れ替えを計画的に進められるようになったこと、処遇や車輛が良くなったことで、社員の定着率が上昇。元社長夫妻(父母)、兄夫婦の助けもあり、Y2社は前期営業利益で2,000万円を稼ぎ出した。
スキーム図
お客様の声
Y社長
リンクスと知り合うきっかけは?
顧問税理士さんの紹介です。
数年前に当時のメイン銀行から保証協会に融資が代弁され、その後は細々と保証協会とかへの返済を続けて来ましたが、資金繰りもそろそろそれも限界かなと思っていた矢先に、税理士の先生から再生案件に強い会社があると紹介されました。
リンクスに依頼する決め手となったのは?
資金繰りが毎月苦しくて、経理を任していた家内から「そろそろ会社をどうするのか、きちんと考えないと子供たちが迷惑しちゃう」とも言われていました。
まだ契約前でしたが、リンクスさんが自宅で「家族会議」を招集して、「このまま成り行きで行くと、こんなリスクがありますが、今、こんな方法で内容を改善して行けば、こんな未来になるでしょう」と、具体的に私達が心配していた「未来像」を示してくださったことです。
バブル崩壊後、20数年間もおカネの問題で苦労して来たのを見ていた子供たちが、「(事業を)やってみたい」と言ってくれた時は、涙が出そうでした。
リンクスに依頼して良かった点は?
資金繰りの立て直しから、取引先への値上げ交渉まで、身近で一緒に対応してくれました。
どうしても仕事を貰っている「下請」の立場だと、値段交渉は相手の言い値に近い水準で決着するのが、当たり前でした。リンクスさんは、色々な業界の情報や立ち位置が分かっているからでしょう。
取引先との交渉にも同席いただいて、建設的な意見ながら、私どもの主張を強く先方に訴えかけてくれました。
原価が上がっても、なかなか値上げ要請を切り出せないことは、「供給責任」を本気で考えてない証拠だと取引先の前で、私を責めるのです。
これで取引先の部長さんも、弊社からお願いした「値上げ要求」に応じざるを得なくなったと、後日お礼にお邪魔した際に、笑いながらお話くださいました。
とにかく、リンクスさんの知識、経験、交渉力にはびっくりしました。
振り返ってみて一言お願いします。
お蔭様で、次男を社長に新会社を立ち上げ、2年が経とうとしています。昨年は、営業利益で2,000万円を計上することができました。
あの時、税理士の紹介に耳を貸さなかったら、こんな日は巡って来なかったと思います。
不思議な「縁」を感じますが、リンクスさんを通じて、神様が「Yよ、まだまだ働け」と言ってくださったと思い、私も元気にトラックに乗っています。
まだ64歳、まだまだやりますよ。自宅と倉庫を買い戻さないとね(笑)。