前回の続き
過去債務のせいでメイン行からは「不動産融資はダメ」と支援を断られ、ユーザーに販売する土地が仕入られず、この数年来売上を落とし続けて来た「木造住宅部門」の再生こそが、A社再建の鍵を握っていると私は思っています。
それに「建物」で利益を稼ぐことができるA社(宅建免許も持っている不動産会社でもありますが)は、土地の転売で大きな利益を上げる必要は無く、という事は土地の転売(仕入→販売)でどうしても儲けたい不動産屋さんより(足の速い物件なら)高値で土地を仕入れることができます。
首都圏の人気住宅地域だけに、まとまった土地売却案件には、パワービルダーを筆頭に地場不動産業者も参入しての大競争が行われますが、現実としてA社も資金繰りの心配が無かった時期はこられの取得競争に参入しており、年間数十棟の住宅を販売して来ているのです。
だからこそ、スタッフも経験もある売建(注文)住宅事業に力を注がない手はない、と私は思っているのです。
問題は、仕入(土地購入)時の資金手当ですが、ここはやはりメイン行にお願いする他ありません。
これにはその昔、全く同じような経験があって…
当時某支店の融資担当者として過剰債務に陥り毎月融資残を管理していたビルダー(住宅販売会社)の社長が「分譲地として20数区画取れる良い物件を見つけたので、メインの足銀さんで何とか応援して貰いたい」との相談を当時の支店長席と協議した時、普段は“昼行燈”のようだった支店長が開口一番「本部(審査部)は何とかするから、すぐにOKと言ってあげなさい。本業を支援しなけりゃ、回収も再生もないんだよ」と仰り、事実その通り社長の持ち込んだ案件を当時の足銀が支援し、その貸出も当然回収し切ったという事を思い出していました。
この支店長、本部特に審査部歴が長く、営業店の支店長には正直向いてないんじゃないか(周りの評判も多く)と思ったこともあったのですが、このカックイイエピソードがあって、これ以降、私はすっかり心酔してしまいました。
余計な話はこれくらいにして(笑)
担当者と面談した時に、私が話したポイントは以下の通りでした。
①建設会社という性格上大型工事の完成時期によっては売上・利益も波が大きく、安定収入部門を再構築する必要がある
②安定した事業収益をもたらす事業部門は、住宅建築・販売部門だと考えている
③住宅部門を再起させるにはメイン行からの仕入資金支援が必要であり、支援が無ければ「経営改善計画」も再検討するしか無いが、現実的にはジリ貧ラインを描かざるを得ない
まとめとして、経費圧縮も良いが、そもそも経費圧縮は限界に近い。原価管理も徹底して削減するが、A社の根本的な問題は社外から売上を引っ張って来る力に欠けているところ、売上を自助努力で上げるには「モノ=土地」を先行取得する以外にない、それにはメイン行の支援が必要なのです
さて話を持ち帰ってくれた担当者、来週上席と再来社することになりました。
話の分かる(当社の再生に向けて)パートナーだったら良いんだけど…
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