資金繰りを説明する際に、「経常収支」と「財務収支」をそれぞれ分けて考えると良いですよ、と私は取引先の社長さんに説明します。
なぜかと言うと…
財務収支…、まさに企業の財務上の入出金ですが、この財務収支のマスナス金額が「経常収支」を上回る状態が続くと、手元の現預金は、時間の経過と伴に減少して行きます。
財務収支の主なプラス要因は社外からの資金調達で、金融機関等からの「融資借入」などが主になると思います。反対にマイナス要因は「融資返済」です。
「経常収支」と「財務収支」の意味が理解できていないと、手許資金が減少して行く状況を見て「すわっ赤字だ、大変だ!」という感覚に襲われてしまいます。
一方の経常収支は、企業の「入金額」から「出金額」を差し引いた金額なので、こちらが仮にマイナスで、しかもそれが続いているとしたら、それは確かに問題です。「赤字」を疑ったり、「回収・支払」期間や方法の見直しが必要になるでしょう。
数字を使って説明すると
①経常収支がプラスで財務収支がマイナスの場合
経常収支 30 (入金額 100 ー 支出額 70 ) + 財務収支 △ 50 (借入額 50 ー 返済額 100) = △20となって、手許資金は20減少します。しかし年間を通じて経常収支がプラス(しかも入金の30%も)であった事を見ると、この会社は黒字企業であろうかと思われます。
②経常収支がマイナスで財務収支がプラスの場合
経常収支 △30(入金額 100 ー 支出額 130 ) + 財務収支 50 (借入額 100 ー 返済額 50 ) = 20の場合、手許資金は20増加します。 年間経常収支がマイナスであった事を考えると、この会社は赤字で、その赤字で毀損した運転資金を補てんするために借入金が 50も増えたと思われます。
当然、①②の他に、③経常収支がプラスで財務収支がプラス、或いは④経常収支がマイナスで財務収支がマイナスという企業も存在し得ます。
③は事業が成長途上にあり資金調達意欲も旺盛にあると見られ、④は事業が成熟から衰退期に入っている処か、この状態が続くと手許資金が枯欠し「資金繰り破綻」に近づく怖れもあると思われます。
③は別格としても、この中で企業の望ましい姿は①なのかな…と思います。
②の企業経営者が、自分の会社の借金が増加している「理由」が分かっていないと、その人は後々苦労をすることになってしまいます。
一時的な「収支マイナス」は許されますが、経常収支マイナスが続いている会社は、おそらく「赤字」企業です。
たまには、こんな目線で自社の資金繰りを分析してみては如何でしょうか。
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