事業再生の現場から

金融用語の解説 メイン寄せとは…

お早うございます。

春に向けて、このところ「三寒四温」が続いています。

スギ花粉もだいぶキツくなって来ました(>-<)

毎年の事ですが、この季節は「忍」の一字… とにかく耐えないと…

 

先週の事ですが、このブログを熱心に読んでくださっている読者から、ある質問を頂戴しました。

東芝が解体される…という記事を呼んだ時に、その方は考えたそうです。

東芝は銀行取引が地方銀行を含めると40数行にも及ぶというけど、皆が皆、東芝再生に協力するのだろうか?と…。

「その点どう思います?」と聞かれましたので、私はその時、次のように答えました。そして「ブログネタができた!」と閃いたのでした(笑)

 

事業者に「金融支援」が必要になった時、例えば今回の東芝のように「債務超過」が確実になったけれど、リストラや事業改善努力により、事業の立て直しを計ろうとする時、資金繰りを支える金融機関からの支援が途中で止まってしまう事は、企業の「死」を意味します。

よって、今回もそういう動きをしたようですが、全取引金融機関を呼んで「説明会」を企業自身が行ない、資金繰りへの支援継続を依頼する事が多いのです。

これは事業の大小に関わりなく行なわれることですが、東芝はさすがに日本を代表する大企業、メガバンク(三井住友・みずほ)と三井住友信託の3行がメイン行を形成する他、全国の地銀等を加え、40数行が「説明会」に参加したと言います。

この中でも、取引下位行…

日本を代表する東芝なら、まさかデフォルト(債務不履行)はあり得ないでしょう、地元に工場がある東芝と融資取引があれば、何かと「箔」が着くでしょう、など理由は様々ながら、融資取引をしている銀行があります。

特に融資シェアが1%に満たないような銀行からすれば、「あり得ない」と思っていた東芝のデフォルトリスクが顕在化して来ると「何とか此処から無事に脱出したい」と思うようになります。

そんな時に行なわれるのが「メイン寄せ」です。

 

事業改善を進めて行く前提として「資金繰り破綻」は当然回避しなければなりませんが、下位行の幾つかに「うちは協力できないかも…」などと騒ぎ立てられたら、全体の再生スキームに障りが出る可能性があります。

そこでメイン行は「当行が御行のシェアを肩代わりします」と下位行融資金の肩代わりを申し出て、反対勢力の意見を封じ込め、自行(メイン行)主体の改善策実行を事業者に求める事があるのです。

これを「メイン寄せ」と言います。

メイン行の「面倒見」が事業者の未来を左右する構図ですが、昔からこのような事は頻繁に行なわれて来ました。

金融業界では「日常茶飯事」なのです。

こういった習慣を逆手に取って、下位行側からメイン行に積極的に「メイン寄せ」を仕掛ける事も、最近は多くあるようです。

 

今回の東芝再生計画でも、水面下ではこんな事が行なわれているかも知れませんね。

 

 

 

 

 

 



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