帝国データバンクが発行するTDBニュースに、先日経営破綻が報じられた出版取次中堅業者・太洋社の債権者一覧が掲載されました。
太洋社の負債総額は約43億7,600万円で、債権者数は2,000名余。
同社の破産事件への債権届を提出した出版社だけで、優に100社を超える規模となっています。債権届出額も集英社の2億6,000万円余を筆頭に、小学館や角川書店、講談社などが単独で1億円を超える債権を有していると報じています。
次なる問題として、事業基盤のしっかりした集英社や小学館などの大手ではなく、業界誌や専門書等を扱う中小・零細出版企業に、同社経営破綻の影響が及ばないかということに、業界の視線が集まりそうです。
この時期に数千万円規模で貸倒が発生したとすると、中小・零細企業にとって経営的には相当厳しいものがあるでしょう。
出版不況が叫ばれて10年以上の歳月が過ぎました。
スマホを筆頭にしたモバイル生活が進み、この数年は活字離れに拍車が掛っていると業界関係者は仰います。
経営規模の大小はあるにしても、出版業界に身を置く事業会社の大半は「青色吐息」の経営が続いているのではないか、とも言われているようです。
現に同誌「情報スクランブル」No642では、昨年倒産した栗田出版販売㈱に関連して多くの企業に貸倒が発生した事例を引き合いに、今後の業界信用動向に注意する必要があることをわざわざ公にしています。
出版業界とは別に、同誌では「アパレル」や「太陽光発電」関連企業の信用情報にも注意を促しています。
倒産事例が増えているのでしょう。
“風が吹くと桶屋が儲かる”の逆バージョンに巻き込まれることの無いように、普段から、取引先や業界他社動向に目を向ける習慣を着けておきたいものです。
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