事業再生の現場から

ウィルホームの倒産④

先週末の事ですが、事務所で整理仕事をしていると「ウィルホームの施主なのですが、何か情報があれば…」という電話を受けました。

建設資材業を営む知人から知らされた情報を元に、前回まで3回ほどウィルホームの事業停止に関する私の考えをブログで紹介させていただきましたが、電話をくださった施主さんも、この記事を読んで「藁をも縋る思い」で電話をして来たのだと思います。

話を伺うと、「工事自体は70~80%程度終了し、工事代金支払も工事進捗に合わせて支払っていた」との事で、前払金を払って工事が全く進んでいないと言う事では無いようです。しかし施工業者のウィルホームが工事を途中で投げ出した格好になっているうえ、会社の責任者が雲隠れしている状況で、工事再開or契約解除どちらにするのか意思表示さえして貰えず、施主さん側からすると契約解除を強行して良いモノかどうか、迷っていらっしゃるようでした。

この方は今回の同社倒産劇の中では、比較的ダメージの少ない被害者だとは思います。しかし、仮にウィルホームとの建築請負契約を解除して他業者に残りの工事を発注することになった場合、少なからず施主側に「持ち出し」が発生する事になるでしょう。頭の痛い問題だと思います。

 

ウィルホームの問題ですが、最初から「業者」より「施主」(消費者)側の被害の方が、大きな問題になると思っていました。

ビルダー(住宅販売業者)が資金繰りに追い込まれると、本体価格の大幅値引きをエサに多額の前受金を集めるだけ集めて、最終的に破綻に至るケースが頻発します。

数年前には、派手なテレビCMを続けて顧客から資金(前受金)を集め、最終的に資金繰り破綻したアーバンエステートなんて会社もありました。

その後信用調査会社の続報も無いので、ウィルホームで被害を被った施主さんの被害額は分かりませんが、年商が20億円規模であるなら、年間販売棟数は100戸前後はあるのでしょう。工事着工から引き渡しまで3~4か月を要するとしたら、同社は常に20~30棟くらいの着工軒数を保有していたと思われます。

その中には、引き渡し目前の施主さんもいるでしょうし、着手金(手付金)を渡しただけで着工日目前の施主さんもいたかも知れません。

施主側から見て「支払先行」の場合、地団駄踏むほど悔しいでしょうし、支払先行していなくても先の施主さんのように「今後の手続きをどう進めるべきか困っている」方もいるでしょう。

工事が完成してもウィル側から「工事引渡証明」が交付されないと、住宅ローンを組むのに必要な建物の登記ができません。当然銀行側から「御気の毒に…」と言われつつ、善後策を求められ、煩わしさが日々募ることになるでしょう。

ウィルホームの倒産劇は、まだまだ周りの人達を不幸にし続けているようです。



コメント

  1. 匿名2 より:

    はじめまして。
    私も情報が欲しくて検索していたら、こちらのブログに辿り着きました。
    工事途中なのですが、このまま待っていても何も進展しなく、家が傷む一方なので契約を解除しようと検討しています。

    何かアドバイスがあればよろしくお願いします。

    • 村上 浩 より:

      匿名2さま

      コメント有り難うございます。
      工事途中でストップですか…。まさかの展開で困惑されている事と存じます。
      電話を頂戴した施主さまと同じように、契約解除云々がまず必要でしたら
      弁護士に相談して知恵を借りるのが一番の近道です。
      弊社の顧問弁護士を紹介することもできます。(お住まいが宇都宮近隣なら)
      他に手立てが無いようでしたら、センセイに予め内容をお伝えしてアポも取れますし、良く話を聞いてくれると思います。
      無論これは弊社の仕事ではないので、ボランティアです(笑)

  2. 匿名2 より:

    アドバイスありがとうございます。
    残念ながら宇都宮近郊ではないので、近くの弁護士に相談してみます。

    またこちらにお邪魔しますので、何か情報などあったら載せてください。

    よろしくお願いします。

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