事業再生の現場から

地銀の瀬戸際・メガバンクの憂鬱③

シリーズ3日目。

「地銀消滅ランキング 5年後,28行が赤字転落」

ショッキングな見出しですが、ダイヤモンド社による全国地銀105行のランキングが表示されています。

地方の人口減と経済規模縮小等によって、中核業務純益が5年後に赤字となる悲観シナリオが描ける地銀が28行あります。

上位にランクインされた銀行関係者こそ“いい迷惑”でしょうが、合併や地銀HDへの参加等々経営統合という「苦い薬」を呑みこむ覚悟を決めるには、現実の直視がまず必要なんだと思います。

 

地銀のトップは、小領主のようなもの。

鰯であっても「尾頭付き」だぜ(笑)、みたいなものです。

地方経済界の重鎮として崇められ(これは企業にとって大事な資金循環機能を一手に引き受けているからだと思います、有力地銀になると地域内シェア50%超の銀行もありますからね)何処へ行っても大切にされる地銀トップ。

まるでお殿様です。

近年では、ライバル同士の営業エリア(領地)に不可侵条約を結ぶが如き「広域連合」と称した提携を結ぶ向きもあるようですが、基本的に地銀は「小なりとは言え、独立独歩」で経営にあたり、お上(幕府・大目付=金融庁)は怖いけど、自然「オレの治世(経営)に文句をつけるなんて頭(ず)が高い(許さない)」的なエライさんが多くなっているのではないでしょうか。

そんな感覚でいると「小異を捨てて大道につく」決断は、なかなか着き難いだろうなぁと思います。

 

もうひとつのネックは人事です。

銀行は人材が財産というくらい、人材以外に資産がありません。(まぁ信用というかブランドも大きな財産ですが)

彼らの一番の関心事は、自分も含めた「人事・処遇」です。

統合相手を呑みこむ方、こちらサイドに回れれば(処遇・ポスト的に)良いですが、呑み込まれる方は統合後の処遇が気になって仕方ないでしょう。

過去に幾度となく繰り返されてきた銀行同士の合従連衡で、呑み込まれた側の悲惨な実例が、経営者の決断を鈍らせるのかも知れませんね。

 

しかし客観的に見て経営統合による体力強化で生き残りを目指す以外に選択肢無、という「お達し」が目前に迫っていることは、全国地銀の経営者や社員以外の私のような一小市民にも分かる情勢です。

「瀬戸際」に追い詰められたのは、上位にランキングされた個別行ではなくて、「構造不況業界」と揶揄される地銀業界そのものなのですから。



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