事業再生の現場から

地銀再編機運の本気度⑤

週末に新聞各誌を読み比べていたら、金融庁が全国の地銀・第二地銀106行の一斉検査に乗り出した、との気になる記事を見つけました。

経営基盤や経営規模によって4つにグループ分けし、それぞれの収益基盤や将来的な収益性のヒアリングに着手したとの事。

解説記事によると、いよいよ金融庁主導による「オーバーバンキング」の解消に向けた“指導”が始まるのかも…と期待と不安が交りあった観測も流れているようです。

有力地銀は、地盤とする地元に隣接する地域に出店攻勢を掛け、その地域を地盤とする地元・地銀等とサービス(金利)競争を展開、プレーヤーが多く競合の激しい地域・地区は競争原理が働き「低レートが常態化する」、そんな現象が全国のあちらこちらで出現している現状があります。

その煽りを喰って、中小の金融機関では「正当な収益」が得られ難くなる等の構造的問題を抱えている団体も多いようです。

「不毛な競争」とでも言ったら良いのでしょうか、金利設定についても他行との「競争」となると、法外な金利が提示される事もあります。

 

例えば、地元で数十年の取引実績ある優良顧客A社(銀行にとっての)は、B銀行に預金を2億円置いておきながら、借入もお付き合いで1億円借りています。

借入金利は1.875%です。

少し前なら「短期プライムレート」並の金利で、まさに「最優遇金利」適用先。

名実ともにA社はB行にとっての「最優遇取引先」で、A社長はB銀行の対応に満足していました。

がっ、B銀行が最近県外に開設した某支店の営業担当者が“新規取引開拓を目指して”C社に提示した金利は0.80%(年利)だったそうで、たまたま他行からその金利の話を聞いたA社長は“苦笑い”していたそうですが、こんな事がしょっちゅうあります。

これでC社がA社を上回る優良企業であれば話は理解できるのですが、私が見たところどちらかと言えば、A社の財務内容の方が優れているようです。(なぜ私が両社の財務内容を知っているのかはご想像にお任せしますが)

 

「競合の有無」がこういう事態を招きます。

悪い事では無いのでしょうが、A社長にアドバイスできる立場としては「B行に金利交渉しましょうよ」となります。

オーバーバンキングが解消され、金融機関の体力が強化されるのも良いのですが、「適正な競争」は資本主義社会を維持するための基本的要件です。

色々な考え方をする銀行や支店長、担当者と出会う楽しみもあり、私としては「程々の」再編を望みたい処なのです(笑)

 

 



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