20. サービサーを活用した再生事例
業種 | 不動産業 |
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事業規模 | 年商 1億円 |
従業員数 | 4名 |
資本金 | 1,000万円 |
業歴 | 32年 |
[問題点]
- バブル期に自社ビル建築のための設備投資資金としてメイン行から数億円を借入れたが、テナント入居率の低下に伴い資金不足に陥り、返済条件変更が10年以上続く過剰債務企業。
- 所有資産を時価評価すると、2億円を超える「債務超過」に陥っていることが明白であり、メイン行の格付は「破綻懸念先」となっている。
- 入居率改善のため保有ビルへメンテナンス投資を望んでいるが、メイン行始め取引銀行はいずれも融資に及び腰で、資金繰り破綻が目前に迫っている状況。
解決までの流れ
- T社の顧問税理士事務所からの紹介で同社を訪問しT社長と面談。T社及びT社長(個人)は複数の賃貸用不動産を所有しているが、いずれも老朽化が進み賃料単価の下落と入居率低下が続き、不動産賃貸料収入が年々減少しています。但しいずれの物件も立地条件に優れ、リニューアル投資資金を確保できれば、保有不動産の価値は劇的に向上し入居率も大きく改善できるだろうとの予測が立ちました。
- T社がメイン行その他から借入した自社ビル建築資金は、法人個人合わせて6億円超、現在も4億円を超える債務(借入金)が残っており、保有不動産の時価(約2億円)を考えるとT社の自力再生は現実的には選択の余地無との結論に至りました。幸いT社長の自宅は数年前に奥様に生前贈与されており、住まいの確保が済んでいたことからT社及びT社長所有不動産のうち収益改善の見込める2物件に絞って時価で第二会社に取得させ収益回復が見込めない物件は、銀行に処分を委ねる方法で再生を目指すことになりました。
- まずメイン行を始めとする全金融機関への弁済を停止、毎月発生していた利払負担を回避しました。同時に一緒に事業を行って来た実弟を代表とする新会社(T’社)を設立し宅建業取得等の準備を進めます。銀行は「任意売買」での処分がうまく行かず、半年後には競売を申し立てることとなりました。裁判所で出した「鑑定評価」はおおよそ9,000万円です。弊社が紹介したノンバンクが実弟を代表とする新会社に1.5億円(うち物件価格1.2億円、リニューアル投資0.3億円)を融資することになり、任意売買でT’社が2つのビルの新オーナーとなることになりました。残る収益性回復見込みの薄い物件は、3度の競売でも買い手が見つからず、そのまま担保付の状態でサービサーに譲渡されることになりました。
- T’社は物件のリニューアル後、月間800万円近い賃料収入を確保、T社長もT’社の支配人として入居者の対応に追われる日々を過ごしていました。サービサーからは、処分できない担保物件の買取&銀行から買い取ったT社の残債務2.8億円問題を解決するため一括和解の提案が出されたが、数度に渡る交渉の末、1,800万円をT’社が用意することで不動産名義をT’社に移転、サービサーに渡った債権をT’社が買い戻すことに合意しました。
- T’社は先のノンバンクから3,000万円を調達、うち1,500万円を買い取った賃貸物件に投資することで、新たに年間600万円余の賃料収入を確保しています。結果、T社の大口債権者となったT’社ですが、賃貸用不動産のリニューアル投資が上手く行き、将来に渡って長く安定した収益源を確保できたこととT社長自身の債務保証問題が同時に解決されたことにとても満足されています。
スキーム図
お客様の声
T社長
リンクスと知り合うきっかけは?
取引先の会計事務所の先生から紹介して貰いました。
借金が返せなくなりそうな不安で夜も眠れない日が続いていましたので、顧問税理士に会社に来て貰い「何か良い手はないか?」と対策を練っている時に、「借入金の問題に詳しい人達を知っているので一度あってみますか」と先生に薦められたのがきっかけです。
リンクスに依頼する決め手となったのは?
決算書とビルの収支状況を見て貰ったら「社長がこのビルに拘る理由はなんですか?」と質問されました。同時に残したいモノの優先順位とか…ね。
事業なのか、家族なのか、従業員なのか、ビルなのかって。
私は特にモノにこだわる性格ではないと思っていましたが、リンクスの担当者と話していて自分が設計に携わった第二ビルと第五ビルだけは自分の分身くらいに思っていて、それは自分が生きた証だから何とか残したいんだ、と思っていたことに気づかされました。
不確定要素はありましたが、このままで行くと「全滅」は目前に迫っていたこともあって、「成功する確率20%」と言われた提案に乗ることにしました。
リンクスに依頼して良かった点は?
とにかくテキパキと次から次へと先を読んだ手を打っていただき感謝しています。
たぶんリンクスさんの指導が無かったら、銀行への金利支払が限界になって今頃ビルは他人の手に渡り、私は死んでいたかも知れません(笑)。
銀行の手にあったのでは「債権放棄」も「再生」も無理だ、と最初からサービサーを使って資産と借金の切り離しを仕掛けて行くのを見ていましたが、実に鮮やかな手並みで惚れ惚れしましたよ。
それからT’社で物件を取得する際に、リンクスさんからノンバンクを紹介して貰ったのですが、こんな方法も私達には思いもつきませんでした。
T’社は弟に社長をやって貰ってますが、銀行からサービサーを経由してT’社がT社の借金を肩代わりしてくれた形になってますので、保証人の私としては大安心です(笑)。
振り返ってみて一言お願いします。
この人達は凄いことを簡単にやってのける人達です。
たぶんこんな方法を使うと助かる会社や経営者も多いと思うのですが、逆にあまり「デキル」ところを銀行等に見せてしまうと、「やっかい者」として商売がやり難くなってしまいやしないかと、そっちの方が心配です(笑)。
リンクスさんには引き続き顧問として会社に入っていただいてますが、困っている人が私に相談に来たら、是非彼らに紹介したいと思います。