事業再生の現場から

黒字倒産①

心配していた事象が起きてしまいました。

景気回復局面では過去にも同様な事例が相次ぎ、今年4月の「金融円滑化法」満了と相俟って心配していた「黒字倒産」が身近で起きてしまったと連絡がありました。

とは言っても、それは弊社クライアントでは無く、以前知人から紹介され2,3度足を運んで弊社の「話を聞いて貰った」事業法人の身の上に起こった事です。

「村上さん、以前一緒に行って貰った○○社だけど、月末支手決済(手形決済)が間に合わず、弁護士事務所に駆け込んで破産申請することになったと○○社長から連絡があったよ」と○○社の取引先で○○社長の友人A氏。その口調は悔しさでいっぱい、と言った処です。

約3か月前、A氏の紹介で○○社を訪問した私ですが、3期分用意して頂いた決算書を並べて中身を見せて頂いた後、ひとつの危惧を口にしました。

「○○社長、御社では販売先からの売掛金回収サイト(期間)より買掛金支払サイトが短いようです。資金繰上支払手形を振り出して収支バランスを計っているようですが、銀行借入がリスケ済なら万々が一の時でも新規融資は当てにできません。資金繰りに少しでも気の緩みが出ると、あっと言う間に奈落の底かも知れませんよ…」

「大丈夫ですよ。うちは昨年5年ぶりに黒字になりました。試算表では今年も何とか黒字を維持しています。銀行の評価も高まって来てますし、万一の時は支援してくれると思います。銀行との関係はうまく行ってます」と○○社長。

確かに決算書、それに試算表を見せて貰うと4期連続赤字(債務超過)が、前期と当期(途中)は最終利益まで黒字になっています。

しかし決算書を見ても心配なA社長(○○社の取引先で大口債権者でもある)は、幾ら説得しても楽観論を展開する○○社長のカイゼン意欲を刺激しようと、弊社に声を掛けて来られたのです。

が、当事者である肝心の○○社長は「我関せず」で、資金繰りに関して何処か他人事の様相。

取り敢えず、資料を開示頂いたり今後予想されるリスクやその対処方法、更にはそもそも「リスクが顕在化する前に打って置くべき手」等々を提案したりしたのですが、○○社長の心を打つこと無くその後連絡も無くなり、3か月が経過した昨今冒頭A社長からの連絡となったのでした。

すいません、話が長くなってしまいましたね。

明日に続きますね。

 



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