月末だと言うのに、久し振りに連絡を頂戴した元取引先の社長さん宅を訪れて来ました。
「村上さんの顔を見ていないと、どうにも不安で…」と笑い顔で言ってくださる元社長さん夫妻は、弊社の「事例集7」で紹介した老舗問屋の経営者でした。
知り合いの社長さんの紹介で知り合った私達でしたが、取引先銀行から債権回収専門会社(サービサー)への「債権譲渡」を通告されたご夫妻は、家業を手伝っていた長男夫妻共々途方に暮れた状況の中、善後策を話し合ったのでした。
当初は、歴史と伝統ある家業を社長さん夫妻の時代に閉めるのに抵抗があり、またご長男夫妻もサラリーマンを辞めて4代目となるべく家業の修行を始めたばかりでしたので事業への意欲も旺盛、「廃業」など選択肢にも入らない勢いでした。
借金だらけの会社を整理しつつ、事業維持を目指して行くためには、金融機関に担保提供してあった自宅と本社(倉庫)を何とかして保持して行く方策を見つけなければなりません。
幸いな事に、自宅は仕入先への担保提供が1番根抵当権で入った後、第2順位でメイン行が担保徴求している状況です。
機密事項等があって、詳細は口外できませんので結論だけ申し上げますと、1番2番抵当権者との調整が上手く行った結果「破格の条件」で、ご夫妻は自宅を守る事ができました。
ところが、ご長男を旗頭にして第二会社を立ち上げ事業譲渡を目論んだ本業ですが、販売先の弱体化や大手スーパーによる市場の寡占化が進み、どうにも業績が上がって来ません。
仕入先の大手商社も「廃業したらオーラ」出しまくりです…。
問屋業態ですから、原価削減は難しく、販売増か、若しくは販売管理費等の経費を削減して行くかのどちらかで利益を積み上げて行くしか無いのですが、前述のようなトレンドを当社だけがクリアして行けるとも思えません。
そんな状況を見ながら、ご両親は「事業は自分達の代でケリを付ける」意向を固めたようです。
最後まで「廃業」に反対していた息子さんも「取引(販売)先や仕入先に迷惑を掛けないで済むなら…」と、両親の決断に従う姿勢を見せ始めました。
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