事業再生の現場から

「賃上げ倒産急増」の兆し…

週末に読んだネットの記事で、標題が目に着いて思わず読み込んでしまいました…。

某有力経済誌にジャーナリストが寄稿した記事でしたが、今や「人手不足倒産」では無くて、「賃上げ倒産」と言わざるを得ない事象が、全国の中小企業経営者の頭を悩ませていると云うものです。

「賃上げ倒産」と云うのですから、物価上昇に対抗するため官民挙げて「賃上げ」を進めた結果、企業の「人件費」が上昇、そのコスト増に耐えきれなかった(中小)企業が「資金繰り破綻」する事を指すのかと思ったら、どうやらそうでは無いそうです。

著者が指摘するのは「賃上げ」を実行して資金不足で倒産する事例では無く、「賃上げ」ができなかった事で(従業員を転職・離職で失い)事業継続ができなくなってしまう事例が、全国で頻発しているという点でした。

特に建設業関連でそういった事例が多いようで、建設業者倒産時の理由として半数近くを占めるとも言及しています。

 

確かに建設業等、いわゆる「ガテン系」では10年以上前から「労働力不足」が叫ばれ、業界内での人材引き抜きや外国人労働者の投入等は、他業界に先駆けて始まっていました。

ここに来て、食料品や日用品、電気料等のインフラ関連費用の値上げが続き、「サラリーアップが無いと生活が苦しくなる」というサイクルに入っていますから、賃上げが無いと労働者の生活そのものが成り立たなくなって行く、と云う厳しい現実があります。

よりよい待遇を求めて他社に移る、と云うのは自然の流れです。

 

そしてこの傾向は、建設業で顕著と書きましたが、それだけでなく「サービス業」や「小売業」、「製造業」や「運輸業」等あらゆる業界で起こっている事象だそうです。

「賃上げ」に悩む中小企業の経営者は多く、賃上げを決断する理由としては「従業員の確保(離職防止)」を第一に挙げる事業主も多い筈です。

資金繰りに不安を抱えながらも、上記のような雰囲気を肌感覚で感じつつ、「進むも地獄、退くも地獄ならば…」とこの春の賃上げを決めた会社も多かろうと推量しています。

中小企業経営者の悩みが尽きる事はありません…

 

 



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