先月下旬、クレディ・スイスが発行したAT1債なる投資商品の価値が一夜にして「消失する」というニュースが流れました。
すわっ、リーマンショックの再来か?
ちょっとドキッとしましたが、AT1債の無価値化自体は「問題解決策」の結果であって、金融大手クレディ社の処理如何によっては「金融危機到来」が現実のモノになり兼ねないと、そちらを心配する市場関係者が多かったようです。
結論から言うと、今回の騒動は一部被害(とは言っても160億ドル=2兆円余)に留まり、世界的な信用不安は回避されたという事になってはいますね。
本件は、金融立国スイスの大手金融機関、クレディ・スイスの破綻危機が表面化、同国最大の金融グループUBSがクレディ社の買収に応じる条件として、同社が発行していた永久劣後債(AT1債)の償還拒否(無価値化)を持ち出し、政府が斡旋・了承した事に起因します。
クレディ社の経営破綻が世界中に波及する「信用不安」を食い止めようとしたスイス政府の素早い対応に、各国の金融当局・市場参加者は安堵しているようです。
4/21 鈴木財務大臣は、日本国内でのクレディ・スイス社のAT1債販売額が 1,400億円に及ぶことを発表しました。
AT1債は、発行元の経営破綻時の配当順位が一般債権(社債)より低いため、反対に投資が受け取る金利が高いという特性があるようです。
この「高い利回り」を求めた、富裕層と言われる人達、或いは機関投資家も居るのかも知れませんが、金利志向の高い投資家が(TV出演が続く某大学の有名駅伝監督の被害も伝わっておりますが)今回の無価値化宣言によって被害に遭われたのだと思います。
お金持ちは国内金利が低いので、相対的に高い利回りが期待できる海外の金融商品に目が行くのでしょう。
こういった金融商品を取り扱う事で「手数料」を荒稼ぎする仲介業者(国内金融機関も?)が居るとも耳にしますが、こういうことがあると「リスク商品の勧誘」は難しいなと思わざるを得ません。
世界にはクレディ・スイスより脆弱な発行元もいるんじゃないか?との疑念を持っても不思議ではありません。
5月は3月決算企業の業績が開示され株価は軟調になりがちです。
「Sell in May」株式市場では、3月決算企業の業績発表が続く5月は「売り場」との共通認識があります。
株式市場と債権市場が悪いシンクロをしないよう願うばかりです。
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