事業再生の現場から

賃上げに挑む経営者たち②

お早うございます。

前回のタイトルに①を付けた以上、次の事例があるんじゃ?

正解です!! 次のネタを用意していました(笑)

 

さて「賃上げ」について、B社の事例を紹介します。

B社長は、本人曰く「一介の職人からの叩き上げ」から起業し、今や20数名の社員を率いる“業界の風雲児”然としたなかなかの人物です。

この業界は労使関係というより「徒弟制度」に近い子弟関係のような職場環境が今でも普通にあり、従業員=弟子なので「先生に教えを乞う」立場にある社員は、独立できる立場になるまでは、こと給与面に関しては、なかなか恵まれ難い環境の中で働いているようなところがあります。

その分、自分の技術を確立し優良顧客を確保できれば「独立」どころか、B社長のように「職人から経営者」への転身も十分可能なので、ドリームを実現し易い業界とも言えると思います。

 

B社長は自身が仰るとおり「現場あがり」で、今でも時には自身の固定客のお相手をするので、現場感覚は今でも研ぎ澄まされていて、多くの現場改善も社長の知恵と工夫から生み出されているようなところがあります。

B社は、数年前から多店舗展開を始めるに当たって、管理部門の人材確保にも乗り出して来ました。

これら業務管理や総務・経理といった人材は「自らが店頭に出て売上を稼ぐ」人たちでは無いため、人事評価を含めた会社への貢献度評価方法が難しい面があります。

この管理部門のスタッフは、ほぼ全員が他社経験を得てB社に入社して来た転職組であり、少壮の頃からB社長の薫陶を得て育てられたプロパー組とはまた違った思考回路で働いているようなところが正直あったりするようです。

会社と言うか、仕事(業務)に対する愛着度が現場の人間と違うのは仕方無いにしても…と言うのがB社長の口癖で。

 

「稼いでいるのは薄給で頑張っている現場スタッフなんだけど、事務所(管理部門)スタッフの力が無いと会社が回らないのは良く分かっているんだが…」

悩んだ末に、現場スタッフは10%、管理部門は4%の賃上げを決断して社員に伝えたとか。

現場スタッフの給与は元々低めの設定なので、総体の負担額としては月間100万円に満たない経費増になる見込みですが、既に諸物価値上げの波に乗って、顧客向けサービス価格は昨年中に引上げ済であり、健全な賃上げだと思います。

事業形態がBtoC(個人顧客への直接取引)なので、価格決定権が企業側にあり、小なりと雖も安定した利益を稼ぎ出せるB社だからこその今回の賃上げですが、利益の源泉が「現場の低賃金」にあるとすれば、それは下請企業を「生かさず殺さず」コントロールしつつ莫大な利益を享受する大企業に通じるところもあるかと、多少複雑な気持ちにもなります。

 

まぁB社が成長してくれるなら、それはそれで良いのですがね(^^)/

 

 

 

 



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