事業再生の現場から

事業承継のタイミングを逸すると…

この数日の暖気で、宇都宮のサクラもいよいよ葉桜に…

今日は一日、栃木県内をぐるぐる。

午前中、取引先の社長・経理担当者とミーティングを終え、お願い事に念を押し「じゃ、そろそろお暇しないと…」と私が腰を上げようとすると、「そう言えばこの前、〇〇〇産業が破産したって聞いたな」いつも寡黙な社長がボソッと一言。

「〇〇〇産業ってここ(社長の会社)と同業者ですよね。私が××支店に居る時は優良企業でしたよ。尤も社長のところも無借金で優良さんでしたけどね(笑)」と私。

社長も笑いながら「〇〇〇さんにはうちも仕事をやって貰っているんだよ、今でも。参ったな、下請けでやってくれるところがまた無くなっちゃって…。うちらの業界は規模を大きくしちゃうと、大半がダメになっちゃう。結局家族経営レベルじゃないと生き残って行けない業界なんて、未来が無い業界なんだからいずれ廃れる運命なんだよなぁ。息子が一所懸命にやってたんだけど、親父さんが長く社長をやり過ぎたんだよな。早く息子に代替わりしてやれば良かったのに…」

 

〇〇〇産業さんは20年くらい前は、業界の中でも競争力があって財務体質も堅く、銀行の格付も業界では数少ない正常先だった筈です。

それがこの20年で経営破綻に陥るまで、事業収支が悪化したという事になります。

利の薄い業界ではあるのですが、まだ残存メリットを目指してしのぎを削っている事業者がある訳ですから、この20年で競合に勝てなかった原因なり、経営判断があったのだと思います。

知らない仲じゃなかったのだから、遊びがてら「こんにちは!!」とか行っておけば良かったかな…と反省しました。

専務(今は社長さんでしょう)とは、担当者と一緒に会社にお邪魔した事もあり面識もあったのですから。

経営がキツくなっても私に声が掛からなかったのは、私自身が今こんな事をやっている事を知らなかったのか、うちの宣伝が足りなかったとも考えられるし、いずれにしても今さらどうにもならないのです。

取引先の社長が仰るように、事業承継が遅れた事で、重要な経営判断に誤りがあったのかも…

事業承継の時期とタイミングは、誰もが悩む経営判断です。

「引き際が大切」と良く言いいますが、自分にも問いかけて自省する他、第三者の意見にも耳を傾ける器量を持つのが、経営者としての求められる資質のひとつだろうなと思います。

 

 

 

 



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