事業再生の現場から

足元の株価は何を物語っているのか?

「株価は近未来の景気動向を測る指数である」と昔から言いますが、このところNY株式市場の好況を尻目に東京株式市場の低迷が続いています。

昨日7/18の日経平均株価は、前日比400円以上の値下げを記録し、かろうじて21,000円台を維持する水準で引けました。

第二次安倍政権が誕生した2012年末から、金融緩和や財政出動等「円安誘導政策」によって、当時10,000円そこそこだった日経平均株価は、一時25,000円を超える水準に達し「日経平均30,000円超もある!」と宣う超強気な市場関係者もいましたが、米中貿易戦争の勃発、例えば事象として大きかったのは、昨秋の「華為(ファーウェイ)」締め出し宣言などでしょうか、半年前くらいから日経平均株価は22,000円を超えられず「頭を押さえつけられている」状況が続いています。

先日発表された2019年04~06月中国GDP伸び率(年6.2%)の鈍化は、インフラ整備事業の減速等国内需要の低迷が主な要因と分析され、米国関税率引き上げによる輸出の鈍化はほぼ織り込まれていない、とされています。

一方の米国経済も好調のようで、景気の安定的持続を目指して若干の「金融引き締め=金利引き上げ」が既定路線化されており、これがドル円相場に影響した結果、昨今の「円高」トレンドに繋がっています。

(ただ米国では「景気失速予防策」としてつい最近「利下げ」を実施してしまいましたが…)

 

国内の輸出企業は、円ドル相場の先行きを熟慮し「想定レート」を弾き出したうえで、業績予想を投資家に向けて公表しています。

例えば、トヨタ自動車やパナソニックなどでも「想定レート」に基づいた2020年3月期の決算予想を立ててディスクロしていますが、トヨタ辺りですと「1円円高になると500億円以上の営業利益が吹っ飛ぶ」と言われた時代もあり、輸出入に依存する金額が多ければ多いほど、外国為替(特にドル円)相場の影響を受ける事が知られています。

現在のドル円相場は1$=107.50円前後ですから、今期の決算で想定レートを110円と設定した企業は、2%強の売上が計画より減少する事になりますので、利益にもエライ影響が出る事になります。

円高進行=株価下落が東京株式市場の特性であり、為替動向からは今後も目が離せません。

 

「米中の貿易戦争で日本が割を喰う」事を心配していた市場に、韓国との摩擦問題が「政治」から「経済」にも及んで来た事が明確に浸透して来ました。

韓国企業が世界市場を席巻する「半導体事業」に関わる企業どころか、中国・ロシア・北朝鮮という旧共産圏(ロシアは民主国家と言いますが、ホントのところは?ではないかと私は思っています)と歩調を合わせるかのような、現韓国政府に米国と日本が「踏み絵を踏ませている」構図だと解説するマスコミもありますが…

いずれにしても、政治経済とも東アジアは地政学的にリスクを抱えている事は間違いありません。

米国の日本に対する支援がいつまで続くのか分からないという指摘もあり、東アジアで日本だけが孤立しないで居られると誰が言い切れるでしょうか。

 

数々のリスクが顕在化し、何か世界的な事象(イギリスのEUR離脱問題やドイツ銀行が破綻した場合等々)がきっかけで市場が暴落し、大企業に比べて体力が脆弱な中小企業の経営に悪い影響が起きなければ…と心配です。

NY市場は「史上最高値更新」が続いてますから、山高ければ谷深し…

 

 

 



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